耐えがたいほどのペットロス 救ってくれたのは2匹の兄妹猫

渡辺 陽 渡辺 陽

神奈川県に住む東脇さんは、愛猫のマヤちゃんを亡くして悲しみに暮れていた。悲しくて、悲しくて立ち直れそうになかった時、友人のおかげで2匹の猫と縁がつながっていった。

 

立ち直れないほどのペットロス

2013年10月、横浜の山下公園の近くのゴミ捨て場に4匹の子猫が捨てられていた。2匹の子猫は交通事故に遭って亡くなってしまった。残った2匹の子猫は、幼いながらも自力で生きて、野良猫生活をしていた。その姿を見た人は、「猫の幼稚園」で保護活動をしている知り合いに連絡して、子猫たちを保護してもらった。

東脇さんは、2013年6月に19歳まで一緒に暮らした愛猫を亡くし、悲しみに暮れていた。洗濯物を干していてもベランダから飛び降りたくなるし、仕事には行けたが、家に帰ると涙が止まらず、これがペットロスなのかと思っていた。東脇さんの友人が、「このままじゃだめだ」と、動物病院に貼ってあった「子猫の里親募集」の貼り紙を写メで送ってくれた。「あなたが泣いているうちに、こうして飼い主さんを探している子がいるんだよ」と言われ、東脇さんは、「前の猫にかなう猫なんているはずないと思いながらも、猫の幼稚園に電話してみた。感じのいい女性が電話口に出てきて「見るだけでも見に来ませんか」と言ってくれた。

人懐こいキジトラと不愛想な兄妹猫

2013年12月20日、東脇さんは、子猫に会いに行った。猫の幼稚園には、40匹くらいの猫がいた。「こんなにたくさんの猫は初めて見た」と驚いていたが、「どんな猫をご希望ですか」と尋ねられ、「以前飼っていた女の子の猫がキジ白だったので、キジ白かキジトラがいい」と言った。

キジトラの子猫は「姫」と呼ばれていた。見ると、きちんと正座をして座っている。人懐っこくて、すごく可愛らしい。姫は、たちまち東脇さんの心を射止めた。姫の横には「プリンス」と呼ばれている真っ白な猫がいたが、眉間にしわを寄せて、とても険しい顔をしていた。

「狂暴な子のように思ったのですが、聞くと、姫ちゃんの兄だというのです。トライアル期間だけでも一緒にいさせてくれないかと言われたのですが、迷うことなく2匹とも譲渡してもらうことにしました」

シマコちゃんの粗相のわけ

2匹の猫は、21日の夜、「猫の幼稚園」の人と一緒に家にやってきた。

「野良猫かたぎで、すぐに隠れてしまったんです。でも、姫ちゃんはその日のうちに出てきてごはんを食べました。姫ちゃんはダヤン・シマコ(愛称シマコ)、白猫のプリンスはジダン・シロキチ(愛称シロキチ)という名前にしました」

シロキチは、なかなか姿を見せず、なでることもできなかったが、東脇さんの娘さんが海外出張から帰宅するとゴロゴロ喉を鳴らして甘え、お腹を見せた。

2014年1月、シマコちゃんは、東脇さんの目を見据えながら布団の上でオシッコをするようになった。「トイレの場所は分かっているのに、なぜ?」と思ったが、東脇さんには思い当たることがあった。先代の猫マヤちゃんはとても賢い猫だったが、ダヤンシマコちゃんが近寄ってくるたびに心のどこかで比べてしまっていた。

「まるで『私はマヤじゃない。シマコよ』と言っているように思えました。『ごめんね、あなたはマヤじゃなくてシマコなんだよね』」と言ったら、2週間くらいで治まりました」

シロキチくんが亡くなって

2017年7月、シロキチくんが急にパタンと倒れた。生まれつきの心臓の病気でどうしようもないと獣医師に言われた。入院後、なんとか持ち直したシロキチくんは退院。東脇さんは、猫の酸素室をレンタルして設置した。

なかなか東脇さんに懐かなかったシロキチくんだが、気付いたら東脇さんのベッドでシマコちゃんと一緒に寝るようになっていた。しかし、翌年2月8日の早朝、海外出張する娘さんを「行ってらっしゃい」と見送った後、ハアハアと口呼吸をして苦しみだした。1分間に120回くらい呼吸して、酸素室の中をぐるぐる回っていた。

シマコちゃんは、酸素室の上から中を覗き込んで心配していた。

「もうだめだと思って、酸素室から出して抱っこしたんです。そうしたら『ふうー』と深く呼吸して息を引き取りました」

シマコちゃんは、亡くなったシロキチくんに顔を近づけた。ごはんも食べなくなり、うつろな表情になったシマコちゃん。「お骨になっちゃったんだよ」と言っても、何日も何日も家の中を歩き回ってシロキチくんを探した。

シロキチくんが亡くなってから、シマコちゃんは、甘えん坊になった。東脇さんが痛いと思うくらいジャリジャリ舐めてきたり、座っていると必ず横に座っていたりするという。

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