なぜ子どもはゴミ収集車が好きなのか? 動画再生7600万回以上…人気の秘密を探る

谷口 輝世子 谷口 輝世子

 米国で幼児向けのユーチューブ動画「ブリッピー(Blippi)」が人気を集めている。食べ物、動物、工場、乗り物などを紹介する教育系動画を作っており、150本以上がアップロードされている。そのなかでも人気ある動画のひとつがゴミ収集車を取り上げたもので、再生回数は7600万回を超えている。

 ゴミ収集車の人気は動画の中だけにとどまらない。週に1回、ゴミ収集車が自宅の前に来ると、子どもたちは窓から眺め、外に出て見ようとする。収集車の車体からアームが出て、ゴミ箱を持ち上げ、ゴミを車体に投げ入れるタイプが人気のようだ。

 ゴミ収集車のミニカーやおもちゃの車はたくさん売られている。米国のゴミ収集を担うウエストマネジメント社は、ゴミ収集車をテーマにした子どもの誕生日パーティーグッズの販売をスタート。子どもたちの親から多数の問い合わせがあったからだ。同社が立ち上げたオンラインショップには、ミニカーだけでなく、ゴミ収集員になりきれるコスチューム、色鉛筆、クレヨン、塗り絵、お弁当箱、帽子、水筒などが並ぶ。

 12月9日付の米国のザ・アトランティック誌では、なぜ、子どもたちが、これほどまでにゴミ収集車に惹きつけられるのかを検証している。

 ミネソタ大学で子どもの発達を研究するシェリア・ウィリアムズ・リッジ先生はこのように説明している。

 「人間はいつもルーチンによって繁栄してきました。しかし、子どもはそれほど前のことを覚えていません。3歳の子どもに冬物を着せようとすると、できない、と言うことがあります。大人はスノーパンツやスノーブーツは前の冬にも着たのにと思いますが、子どもは2歳の冬のことは覚えていません。子どもにとって、毎週、決まった時間に何かが起こる、特に何か魅力的な何かがある、というのは、この世界を知ることを後押ししますし、何も言わなくても子どもは楽しみに待つようになるのです」

 1年前に起こったことは覚えていないが、週に1回、おもしろくて魅力のあるゴミ収集車が家の前にやってくるというルーチンを、子どもは楽しみに待っている。ゴミ収集車を楽しみに待つことで、決まった何かが起こるという感覚を身に着けることもできる。

 ウィリアムズ・リッジ先生によると、いつも片付けるように親や先生から注意されている子どもたちにとって、ゴミ収集車は家まで来てくれて、良いことをしてくれるという車と人と受け止めてもいるようだ。

 また、アマゾンでゴミ収集車のアニメーションを制作しているガイ・トーブス氏によると、バスや車など、乗り物が好きな子どもがたくさんいるが、ゴミ箱を持ちあげるアームのついたゴミ収集車や雪かきシャベルをつけた除雪車など、車に特別な機能をプラスしているものに子どもの人気が集まるそうだ。

ゴミ収集車の人気を知ってか、ブリッピーはゴミ収集車の歌という動画もアップしていて、こちらはまもなく再生回数が3300万回に達しようとしている。2本あわせて1億回以上再生。人気あるユーチューバーも、ゴミ収集車に対抗するには、ラクなことではないだろう。

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