保護されたものの片目を失明した猫 人のことはまだ苦手だけど…先住猫に心を開く

渡辺 陽 渡辺 陽

 

ナッツくんは、子猫の時、「猫の家」というところにいたのだが、そこは多頭飼育崩壊のようになっていて、ひどい猫風邪をひいていた。群馬県に住む尚子さんが保護した時は、目の状態が非常に悪く、片目を摘出せざるを得なかった。

「猫の家」からのレスキュー

群馬県にある花畑が売り物の施設の片隅に「猫の家」という建屋があった。猫が好きで、保護猫活動もしている尚子さんは、猫の家で猫と触れ合えると聞いて、見に行ってみた。

猫の家は、猫の数が異様に増えていて、多頭飼育崩壊のようになっていた。最初は、不妊手術をしていたそうだが、猫が増えすぎて追い付かなくなっていた。とても狭いケージの中に大人の猫が5、60匹入れられていて、駐車場にも悪臭が漂っていた。猫のトイレは、おがくずを入れた箱が代用されていて、虫がいっぱいたかっていて、猫の家に入るには勇気がいるほどだった。外を歩いている猫も何匹かいて、子猫が8~9匹外で固まっていて、猫風邪をひいていた。

「里親募集中」という貼り紙がしてあったが、欲しければ自由に持って行っていい感じだった。尚子さんは、自分で飼うのは無理だが、ひどい状況のところに置いておくわけにもいかないと思い、特に状態の悪い子猫を2匹連れ帰った。 

治療費のかかる子を我が子に

2匹のうち1匹の目は完治した。しかし、もう1匹は、眼球はあるが、片目が白濁していて見えていないと獣医さんに言われた。片眼は摘出して、片目の猫になった。

「治療にお金がかかるので、うちに残すことにしました。名前は、ナッツと名付けました」

ナッツくんは、最初、たまに見えていない側の頭を家具などにぶつけてしまうことがあった。不衛生な場所にいたからなのかお腹が弱く、食事と食事の時間が空きすぎたり、たくさん食べると吐いてしまう。

後に、尚子さんたちの訴えが実り、猫の家には行政指導が入り、ようやく猫たちが保護された。 

甘えさせてくれる猫に甘える

ナッツくんは、まったく目のことを意に介していない。ただ、劣悪な環境のところにいたからなのか、人が来ると隠れてしまい、尚子さんにも抱っこされたくなくて、逃げたいようなそぶりをする。静かに座っていると、足にくっついて眠ることもある。女性はまだしも、男性が苦手で、ご主人に会ってもびくびくする。

人と違って猫には友好的で、先住猫のはちみつちゃんやビスコくんには、くっついてグルーミングしてもらいたがる。大きい猫の肉球を吸いながら、お腹をフミフミしたがる。

「1匹ではいられなくて、はちみつやビスコと一緒にいたいようなんです。他の猫とも仲はいいのですが、自分が甘えられる猫と一緒にいたいみたいです」

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