合成麻薬MDMAを所持したとして麻薬取締法違反容疑で警視庁に逮捕された女優・沢尻エリカ容疑者(33)について、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は20日、当サイトの取材に対し、今回の報道でクローズアップされた「クラブ」の実情を解説し、同容疑者が売人や共犯者のことを供述してこそ「完落ち」になると指摘した。
沢尻容疑者は取り調べに対し、MDMAを入手したのは逮捕前日の15日夜に訪れた東京・渋谷のクラブではなく、別のイベント会場だと説明していることが19日、捜査関係者への取材で分かった。
今回に限らず、薬物事犯の報道で度々登場する「クラブ」の実情とは。もちろん、純粋に音楽やお酒を通して仲間たちと過ごす時間を楽しむ空間であるが、一部で薬物を求める人が訪れるケースもあり、実際、こうした事件報道で登場してくる場所である。
小川氏は「私が2年前に取材した話ですが、クラブの店内で薬物の売買が行われている実状はなく、クラブの中に売人に仲介する者がいて、薬物を求めて来る者がいるのも事実。そのような客が来ると、『外に行こう』と店外に出て、ある方法を使ってやり取りをしてから、ブツを持ってクラブ内に戻って来る。SNS等で『あの店に行けば買える』といったような情報をチェックして来る者もいます」と解説した。
一方で、同氏は「店側は警戒していて、セキュリティの者が15分おきくらいにトイレ等まで確認している。店も摘発されると大変ですから、すごく厳しく対応しています」と、クラブ側の姿勢も明かした。
また、「数週間前にクラブのイベントでもらった」という沢尻容疑者の供述も注目される。小川氏は「そういう場所で沢尻容疑者クラスの人物には言い寄って来る者が多いと思われます。『10年以上前からやっていた』という本人の供述が本当だとすれば、その中に薬物つながりの人がいてもおかしくない」と背景を推測した。
取り調べに対して素直に応じているという沢尻容疑者。「有名人が薬物事件で逮捕されるたびに私も危ないんじゃないかと注意していた」とも吐露したという。
小川氏は「逮捕2日目くらいから供述が早いです。立件されなかった過去においても薬物をやっていたと話しても本人の得にはなりません。それをあえて話すということは、何度もやめようと思いながら、脳や体が欲してやめられなかったことがあったからと思われます。薬物をやめたくても捕まらないことには止められないということから、これでやっと止められると、逮捕されてホッとした気持ちもあるのではないか」と本人の思いを推し量った。
ただ、小川氏は「今の段階ではまだ『完落ち(すべてを自供した状態)』とは言えません。薬物というものは一人でできるものではなく、必ず誰かから譲り受ける、買う、あるいは自分から誰からあげる…ということがある。入手先(売人)や共犯者まですべて話したら『完落ち』です。すべてを話すことによって、これから、もう一回、やり直すという思いになれば」と今後の行方を注視した。