ある保護者の方から、小学生のお子さんの勉強に関するお悩み相談がありました。それは「字の練習をしていると、枠(マス)の中に上手く字を収めて書くことができず、枠からはみ出してしまう」ということ。そんなとき「何度も繰り返し練習させる」という学習指導を行ってしまいがちですが、実はその前にしておくべきことがあります。それは、「ボディイメージを育ててあげること」。枠内に字を書くということと、ボディイメージには相関関係があるのです。
ボディイメージとは?
ボディイメージとは、「自分の体の幅やサイズが鏡などを見なくても分かること」「運動している場合は、体のどの部分をどう使っているかを目で確認しなくても分かること」です。このボディイメージを学ぶための役割を担っているのが、「固有覚」という感覚です。
固有覚は、体の筋肉や関節の中にある「体の位置を感じ取るセンサー」によって、自分の体のサイズ感などを理解する感覚です。例えば、狭い隙間を通り抜けることができるかどうかは、実際に試してみなくても「このくらいなら通れるな」と分かりますよね。これは、ボディイメージが分かっているからこそ、瞬時に判断できるのです。
ボディイメージが育っていないと、空間認知力が育ちにくい
ボディイメージがしっかり育っていないと、「空間を正しく認識する力(空間認知力)」が学びにくくなってしまいます。その結果、枠の中に字を書くという活動では、枠そのものの空間を適切に認知しづらく(マスの幅をきちんと捉えられにくく)、その結果枠からはみ出すといったことにつながります(お子さんによっては、文字が極端に小さくなったり、端に偏ってしまうこともあります)。
そのため、文字の練習をさせる前にするべきことは、「遊びを通してボディイメージを高め、空間認知力を向上させる」こと。空間認知力が高まってはじめて、「枠の中に字を書く練習」が効果的なものになるのです。