父亡き後の煩雑な手続き…新たな難敵は「遺族年金」 書類の記入項目は重複だらけ、抵抗を試みると…

平藤 清刀 平藤 清刀

最初のページに父の氏名・生年月日・マイナンバー、母の氏名・生年月日・マイナンバーを記入する欄がある。3ページに母の年金コードを記入し、5ページにまた父の氏名・生年月日・住所・年金コードを記入する欄がある。明らかに重複していて、二度手間なのだ。さらに1ページと7ページにそれぞれ2カ所ずつ、母の名を書く欄があった。もっとも「請求者」「入金先の口座名義人」「生計同一関係」という名目に分かれてはいるけれど、ならば請求者と異なる場合にのみ記入すればよいことにできないのだろうか。同じページに同一人物の名前を2回も書かせる意味がよく分からない。

せめてフォーマットを整理して複写にしておけば、記入する手間を一度で済ませられるはず。書類のための書類にウンザリしてきた筆者は、たぶん無駄になることを承知で、ひとつ抵抗を試みることにした。

最初のページはすべて埋める。以降、内容が重複する欄は空欄にしておき「1ページ目に記載あり」「3ページ目に記載あり」と付箋を貼って提出したのである。案の定、窓口で「全部書いていただきたいのですが……」と指摘された。その言葉をきっかけに、こちらの主張を伝えるのだ。つまり、記入させる項目が重複していて無駄が多いこと。そして今後は改善を期待することなど。年金事務所の職員から見れば、たぶん面倒なクレーマーにしか見えないだろう。

高齢夫婦の二人暮らしでどちらかが先に亡くなった場合、遺族年金を請求するのは残されたほうの高齢者である。もしも手助けをしてくれる人が身近にいなかったら、こんなに面倒な手続きを自力でやりとおす体力と気力が続かず、心が折れてしまって手続きを諦めてしまうケースがないとはいえないだろうか。

正義感ぶるつもりはない。しかし、そんな疑念が脳裏をよぎったので、敢えて抵抗を試みたのだった。

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