台風19号で鉄道の計画運休によって余儀なくされたコンビニ業界初の「計画閉店」 今後のスキルに

渡辺 広明 渡辺 広明
台風19号の関東通過前日の11日、スーパーでもパンの陳列棚から商品が全て消えていた=都内
台風19号の関東通過前日の11日、スーパーでもパンの陳列棚から商品が全て消えていた=都内

 台風19号による被害は今も深刻な状況が続いている。一方で、流通業界においても新たな動きが起こった。流通アナリストの渡辺広明氏は当サイトの取材に対し、鉄道会社の「計画運休」によって余儀なくされたコンビニエンスストアの「計画閉店」について、「今回初めて起きたこと」と指摘。今後も災害時に応じて、一つの「スキル」として定着していくと指摘した。

 台風19号が関東地域などを通過した10月12日にはコンビニや外食チェーンで大規模な休業があった。ローソンは同日夕までに全国で約2200店、ファミリーマートは同日夜までに関東や東海の約2500店で休業。最大手のセブン-イレブン・ジャパンは首都圏と東海でオーナーの判断により営業を取りやめる「計画休業」を1000店規模で実施したうえで、12日夜から13日にかけて最大4500店を閉めた。いずれも、これほど大規模な一斉休業を事前に計画した例は過去にないという。

 渡辺氏は「今回の台風で初めてコンビニの『計画閉店』があった。鉄道が計画運休をしたことから、アルバイト店員が通勤できなくなり、フランチャイズ各店のオーナーも同様に被災者になった人もいて、それは必然的な流れでした。計画運休によって計画閉店があり、さらに『計画配送運休』も初めてあった。商品の配送網が絶たれたためです」と説明した。

 今後について、渡辺氏は「災害が多くなり、台風も大型化してくることによって、店側では事前の準備をより慎重になされるようになっている。消費者も情報を収集して早めに対応するようになっている。今回の台風で経験したことによって、スキルができてきて、今後も、こうした対応が進んでいくでしょう」と予測。防災を最優先することによって、コンビニも計画的に休業するという流れが進み、消費者側も「計画閉店」には理解を示すという傾向にありそうだ。

 その消費者の意識を表すエピソードもあった。渡辺氏は「(台風19号による)停電があったため、電池式の携帯電話充電器が売れたそうです。(台風直撃の)前々日が2倍、前日には4倍の発注があったと聞きました。地震の時は車内に装着する車載充電器売れたが、台風となると、停電を見越して電池式の携帯充電器が売れる。消費者も当日になって慌てないように事前の備えの意識がある。なので、(台風のピークとなる)当日に閉店されても大丈夫な備えがある」と指摘した。

 ちなみに、こんな話もある。渡辺氏は「土曜日だった12日、台風直撃の首都圏では夕刊紙と競馬専門紙がコンビニになかった。土曜ですから、日曜のレースを予想したい人が買えなかった。13日には通常通り、コンビニに各紙が並んだので、新聞の売り上げがよかったと聞きました」と明かした。日持ちのする食料や携帯電話の充電器など生活必需品は事前に買い求められるが、競馬新聞などはさすがにどうしようもない。そんなケースもあった。

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