元“エンタメの街”玉造に誕生したライブハウス 商店街に「かつての賑わい」取り戻すか?

山本 智行 山本 智行

 いまでは大阪の「文教地区」のひとつとして知られる玉造がかつて“エンタメの街”だったのをご存じだろうか?その地に今夏、大阪最大級の多目的ライブハウス「TakaraOsaka(タカラ大阪)」がオープン。若手アーティストに活躍の場を提供し、併せて地域の活性化に貢献したい考えだ。

 「大阪の音楽シーンを盛り上げたい。路上ライブをしている人など明日を夢見るアーティストに活動の場所を提供し、メジャーデビューを手伝いたい」

 これがホール側の開設にあたってのコンセプトだった。場所はJR環状線「玉造駅」、大阪メトロ長堀鶴見緑地線「玉造駅」から徒歩2分ほど。玉造日之出商店街に入ってすぐのところにある。かつては映画館、その後はカラオケ店として営業していた。タカラ大阪の坂本勇さんが言う。

 「天井の高いライブハウスに向いている物件を探している中で、いい物件に当たりました。大阪で同じような規模だとビッグキャットかバナナホールぐらいでしょう」

 ホールの大きさはスタンディングで800人、着席形式で400人を収容可能。関西初となる4K対応の可動式の8枚パネルに加え、サウンドシステムとしてイタリア・プロエル社製の音響設備をフル装備した。

 舞台裏を案内してもらったが、ステージ下の左右から登場できるなど様々なシーンに対応可能。楽屋施設も充実していた。音楽ライブはもちろんのこと、シアター、各種パーティー、パブリックビューイングなどとしても利用可能とのことだ。

 人気のK-POPにも力を入れており、これまでに“超新星”のユナクとソンジェ2人によるユニット「Double Ace」や女性2人組「赤頬思春期」のライブを実施。今後も11月12日から男性5人組「MY・ST」のステージを用意する一方で12月23日には、このホールのアドバイザーでもあり、作詞家・作曲家で歌手の中村泰士さんによる「80歳の80回目のライブショーのファイナル」を開催する。

 もっとも、一番力を入れているのは11月25日からの3日間、若手アーティストを選抜する「フォーク・ガラ・スクエア」だ。坂本さんによると、応募を受けてオーディションしたうえで「20~30組に出てもらい、お客さんの投票により来年1月5日にファイナリストを決定。その人は1月28日に聖地ZeppTokyoの舞台に立つことができる」という、まさに夢のようなストーリー展開が待っている。

 戦前の玉造はエンタメの街として劇場が6軒ほどあり、横山エンタツ・アチャコがデビューしたことでも知られ、戦後は映画館も数多くあったという。玉造日之出通北商店街協同組合の副理事長で「メガネの森」を営む森脇常夫さん(73)は「えらいもんで、ライブハウスができてから人の流れ、客層が変わって来た。かつての賑わいを取り戻すのは難しいかもしれへんけど、人が集まるのはいいことです」と商店街の変化を感じ取っていた。そこで年末商戦を前にアーケードの照明をLEDに取り換え、明るい街づくりを目指すという。共存共栄となってほしい。

◇選抜ライブ「フォーク・ガラ・スクエア」の問い合わせ folk.gala.square@gmail.com

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