調剤薬局が発行するフリーマガジンの表紙センスが「嫉妬レベル」 人気出すぎてグッズまで販売

佐藤 利幸 佐藤 利幸

薬局で配っているフリーマガジンの表紙が「センスが嫉妬レベル」とSNS上で話題になっている。これまで発行したバックナンバーがWEBサイト上でも見れることから情報が拡散、人気に拍車がかかっている。発行元はファンサービスの意味を込めて、表紙ステッカーのグッズまで販売。仕掛け人のアイセイ薬局に話を聞いた。

「ジャケ買い(無料だけど)したくなるなこれは 内容はまだ読んでないけど絵的にたまらん〜」
「コーラ吹いた こんなん見たら薬局の中で爆笑するわ、どーしてくれる」
「いいなぁ…… 夏バテが特にいい」
「表紙のセンス、最高!どんな人が作っているのか知りたい!」

などと、調剤薬局が発行するフリーマガジンの表紙を見たユーザーから賛辞の声が相次いでいる。最新のヘルス・グラフィックマガジン9月号「下痢・便秘」では黄色い滑り台の中腹で、黄色い服を着た女の子がうつぶせで寝ている。今年の1月号「肩こり・腰痛」はマスクマンが女子社員にプロレス技のコブラツイストをかけてぐいぐい締め上げている。個人的には2013年7月号「夏バテ」までさかのぼるが、シロクマが池に頭をだらんと下げている表紙が、夏バテのイメージに直結、思わず手に取りたくなる表紙だ。このセンスのいいフリーマガジンは2010年9月の創刊から年4回、発行され続けている。アイセイ薬局のコーポレート・コミュニケーション部、飯村誠一郎部長に話を聞いた。

――部長、このセンスのいい表紙はどうやって生み出しているのですか

「かなり手間がかかっています。表紙のアイデアは社内、社外から持ち込まれます。100枚ぐらいの素材をテーブルに並べて編集会議が始まります。6、7人のスタッフがそこから1つに絞るわけですが、とても1日では終わりません。中身も含めてですが1号を作るのに5カ月はかかっています」

――そこまで時間をかけてこだわる理由は?

「医療機関のフリーマガジンとして情報は有益、最新、正確さが必要となり、大変責任ある仕事であると思っています。しかしながら、ただ情報を詰め込んでも、素通りされちゃうんですね。(表紙が)インパクトがあってキャッチ―でウィットに富んだものを目指しています。もちろんふざけ過ぎないように注意していますが、素通りされないように努力をしています」

――2015年4月「頭痛」と今年1月の「肩こり・腰痛」の表紙はともにマスクマンが女子社員にプロレス技をかけています。登場人物は同じですか

「前回の表紙がウケたので同じモデルを使ってセルフパロディをやろうとしたのですが、(2015年の)女子社員役のモデルさんはすでに辞めてまして、似たようなモデルさんを探しました。マスクマンは同じ人ですが、4年前と比べて筋肉量が違うんですね。よく見ればわかりますが、筋肉が落ちています」

――これまでの表紙で一番人気は?

「『鼻炎』(2013年3月、2本の滝がまるで鼻から鼻水が出ているように見える表紙)ですね。こちらは中国のSNSで拡散されました。その影響で、上海で行われた自動車メーカー・ゼネラルモーターズのイベントに来てくれということで、ウチの編集長が『鼻炎』の表紙をテーマに講演しました、言葉は分からずとも、漢字と写真で大ウケでした」

――表紙をもとにしたステッカーなどグッズも販売されています。失礼な質問ですが、こちらは売れていますか?

「売れてます。ありがたいことにさきほどの中国のほか、ヨーロッパでもあるミュージアムに(表紙が)展示されるなど世界的な人気になっています。ファン層が広がっているので、ファンサービスのためにグッズを作りました。バラ売りのステッカーだと1枚200円で購入できます」

調剤薬局のフリーマガジンの域を超えた奥の深さに感銘を受けたが、ちなみにアイセイ薬局は全国に360店舗以上を展開、北は青森県から西は兵庫県までカバーしている。

■ヘルス・グラフィックマガジン オフィシャルグッズ https://www.aisei.co.jp/hgm_official-goods

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