中国製なのに国宝指定されている「唐物天目茶碗」ってなに?  京都の禅寺で公開中

沢田 眉香子 沢田 眉香子

 「茶は仏様に捧げるもの。道具は墨跡(高僧の書)を第一にします。それは、書かれた人の精神を大事にするということ」と、相国寺承天閣名誉管長・有馬頼底管長猊下は話す。茶の湯と禅の関係をもっとも強く感じさせるのが、茶会で床の間に掛ける、禅語の掛け軸「一行書」。これは茶会のテーマをあらわすものでもある。有馬管長猊下の背後に展示されているのは、京都・嵐山の臨済宗大本山「天龍寺」(京都市右京区)を創建した夢窓疎石の一行書『迷生寂乱』(南北朝時代 鹿苑寺蔵)。大意は「迷いがあると心がぶれる」。

 さて相国寺といえば、伊藤若冲ゆかりの寺でもある。若冲は相国寺の僧・大典禅師からサポートを受けて数々の名作を生み出した。大典と若冲がともにリスペクトした茶人・売茶翁の肖像も同展に出品されている。また、鹿苑寺(金閣寺)大書院の襖絵「葡萄小禽図」と「月夜芭蕉図」の2点が、床の間を再現して常設展示されている。若冲が大典禅師の依頼で描いたもので、いずれも若冲の水墨画の傑作。「京都で若冲が見たい」という人に、おすすめだ。『茶の湯 禅と数寄』展は、2020年3月29日まで(展示替えあり)、料金は一般800円。

相国寺承天閣美術館 https://www.shokoku-ji.jp/museum/exhibition/chanoyu/

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