さいたま市の集合住宅敷地内で住人の小学4年進藤遼佑君(9)の遺体が見つかった事件を受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は19日、当サイトの取材に対し、進藤君と顔見知りで土地勘のある者という犯人像を指摘。「犯行は計画的ではなく突発的ではないか」と推測した。
進藤君は教員の母親(42)と無職の義父(32)と3階建て教職員住宅で3人で暮らしていた。埼玉県警によると、17日午後8時20分ごろ母親から「息子が英会話塾に出かけたまま帰らない」と110番があり、捜索した結果、18日午前0時40分ごろ、2階の階段付近で水道や電気のメーターを収納する「メーターボックス」と呼ばれるスペース内で、進藤君の遺体が座ったような状態で見つかった。英会話塾には来ていなかった。
県警は殺人事件と断定し、大宮東署に特別捜査班を設置。死因は窒息で、ひも状のもので首を絞めたとみられることが分かった。遺体が入れられていた「メーターボックス」は進藤君一家の居室と対面している空き部屋のものだったことも判明。着衣に乱れはなかったが、靴を履いていなかった。
小川氏は「全く違う場所で殺害し、ご遺体を自宅の前の空き家のメーターボックスに入れるということはかなりリスクがある。小学4年生の体はそんなに小さいものではなく、また、まだ日が明るいうちに運ぶことは考えにくい」として、集合住宅の敷地内で殺害された可能性を指摘した。
さらに、同氏は「靴を履いていなかった」ことに着目。「靴を履かなくていい所、すなわち屋内で殺害され、メーターボックスに移動した可能性が高い。屋外で犯行に及んだ場合は靴を履いているわけで、それをわざわざ脱がすだろうか。移動する際に靴が片方だけ脱げる可能性はあっても、両足とも脱げる可能性は少ない。例えば、空き室が殺害現場であれば、室内に靴が残っているとあやしまれるので、靴だけ敷地のどこかに遺棄したことも考えられる」と推理した。
犯人像について、小川氏は(1)進藤遼佑君と顔見知り、(2)教職員住宅の事情に詳しい土地勘のある人物、(3)計画的でなく、突発的、という3点を挙げた。
小川氏は「この時間帯からして、全く知らない者が子供さんと一緒にいると不審に思われるので顔見知りだったのだろう。また、遼佑君は本来なら午後6~7時頃までには自宅にいるはずで、この日は英会話塾があるということを知っていた人物ではないか」と顔見知り説を解説。また、土地勘について「ご遺体を遺棄したメーターボックスが空き家のものだと知っており、そこがなかなか見つかりにくいだろうということを知っている者はそれほどいないと思われる。」と指摘した。
小川氏は「突発的な犯行」について「もし計画していればご遺体をメーターボックスに遺棄することは考えにくい。家にあるひもを使って殺害し、ご遺体をどうしようかというときに突発的に思いついた隠し場所ではないか。犯行は計画的でなく、突発的なものと考えられる」と推測した。
小川氏は「いわゆる〝流し〟の犯行ではなく、何か子供さんとの間に事情があり、それを誰かに発信していた可能性もある。友人も含めて警察は話を聞いているところではないか。教職員住宅なので、お互いに名前と顔が一致する。スムーズに話は聞けているはず」とし、早期の犯人逮捕の可能性を示唆した。