「環境にいいことしてますね〜」上る人を懸命にヨイショしてくれる、区役所の階段が話題

川上 隆宏 川上 隆宏

健康のためにも、省エネのためにも、良いとは分かっているけれど、なかなか使うのに気乗りがしない「階段」。そんな気分をふっ飛ばすため、上っている人を懸命に応援してくれる階段が、京都の区役所にあると評判です。段差のところにメッセージが書かれているのですが、その内容はというと…「階段を選ぶなんてさすがです」「環境にいいことしてますね〜」といった感じ。あらあら、人をおだてるには、ちょっとストレートな物言いじゃない?…まだまだ乙女心が分かってないわね…って、もう、ルンルン気分で3階まで上っちゃったじゃない!

京都駅近くにある京都市・下京区役所。評判の階段は、建物南側のメーンエントランスを入ってすぐにあります。近づいた瞬間、目に飛び込んでくるメッセージ。数段ごとに、利用者をほめたり、気遣ったり、健康や省エネの大切さを訴えるようなメッセージが、たたみかけるように書かれています。大サービスで全部のせちゃいますよー。

▼1階から2階へ
「ようこそ下京区役所へ」
「健康的でエコな階段でどうぞ」
「階段は電力消費量0!」
「階段を選ぶなんてさすがです」
「ゆっくり一段ずつ上がってね」
「階段を使ってくれてありがとう」
「2階まであと少し、ファイト!」
「腕を振ってしっかり上がろう」
「階段を使うあなたって素敵」
「2階、福祉事務所です」

▼2階から3階へ
「階段利用も立派な節電」
「電力使わず体力使おう」
「運動不足が解消できて」
「地球にやさしい階段利用」
「環境にいいことしてますね〜」
「さあ もうひと踏ん張り!」
「おかえりの際もぜひ階段で」
「お疲れ様です。3階に到着です。」

ふう。軽い息切れと動機をともなっているからかもしれませんが、上り終えると、なにか大きな物語を読みとげたような印象をも感じます。階段にはメッセージだけでなく、1段ごとに「-0.1Kcal」「-0.2Kcal」「-0.3Kcal」…と、カロリー消費量まで書かれ、いやがおうにも運動せねばと思わせる細やかさです。

Twitterには実際に階段を利用した人が「褒められた気がして嬉しくなる」「3階まで上がってしまった」といった投稿をしています。特に、このたび平成の時代を振り返る投稿で取り上げられたことで、あらためて注目を集めています。

区役所の庁舎を管理している担当部門に聞きました。

ーどのような経緯で階段にメッセージをつけたのでしょう。

「取り組みのきっかけは2011年の東日本大震災です。当時、京都市全体で節電に取り組み、下京区役所ではエレベーターの一部を停止させることになりました。そこで、当時の若手職員らが、エレベーターが混み合わないよう、来庁者の方に階段を使ってもらえるアイデアとして考えました」

ー利用者をほめて、楽しく使ってもらう作戦ですね。

「市民の方がよく利用される3階までに、階段の利用を励ますようなメッセージを入れています。作ってまもなく話題になりましたが、今でもときどき注目されているようですね」

ー作ってからメンテナンスなどはされているのでしょうか。

「これまでにコメントの張り替えなどはしていません。なお、設置してから時間がたったこともあり、残すのか残さないのかも含めて、取り扱いについては検討に入り始めたところです」

  ◇  ◇

ちなみに、3階から会議室などが集まる4階に続く階段には、気分一転、下京区の歴史が解説されています。「1879年 下京区誕生」など、ちょっぴり勉強気分になりながら上がりきると…最後にはこんなメッセージが。「78段 お疲れ様でした」! ちなみに消費カロリーは「-7.8Kcal」とのこと。こちらこそお疲れ様でした!

京都市では、地下鉄の駅でも階段に同じようなメッセージや消費カロリーを表示していたことがあるそう。ただし同市交通局によると、こちらは2014年の夏までに撤去されているそうです。

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