偶然、通りすがりにやっていた譲渡会に参加して出会った黒猫のノワールちゃん。他の猫に比べてひかえめな性格だが、特に、ご主人のことが気に入っていて、毎朝甘えている。
新しい子は黒猫を
埼玉県川口市に住む高橋さんは、3匹の猫を飼っていた。ルーイちゃんとくぅちゃん、茶トラのちびちゃんと暮らしていた。
ちびちゃんは、近所をうろうろしていた猫で、いったん近所の人が家に入れたが、すぐに捨てた猫だった。ある日、娘さんが遊びに行く時、自転車に乗ろうとしたら肩に飛び乗り、雪が降るような寒い日だったので、肩に乗せたまま家に入れて飼うことにした猫だった。ちびちゃんを捨てた人は、トイレやキャットフードを持ってきて、何年か経ったら引き取ると言ったが、迎えに来ることはなく、犬を飼い始めた。
ちびちゃんが8歳で亡くなり、8ヵ月ほど経った頃、そろそろ新たしい猫を飼おうと家族で話していたが、今度は黒猫を飼おうということになった。
「うちは歴代5匹の猫を飼っているのですが、みんな色や柄が違うんです。同じ色や柄の猫だと、前に飼っていた猫を思い出してしまうので、違う柄の子がいいなと思いました。私は、最初は黒猫じゃなくてもいいと思っていたのですが、娘も主人もなぜか黒猫がいいと言うし、今度飼う子は黒猫にしようということになったんです」
真っ黒な猫、ノワールちゃん
2016年9月、川口の駅の出入り口付近では、毎週末、川口里親の会が主催する犬や猫の譲渡会が開催されているが、たまたま家族で駅の近くを通りかかると譲渡会をしていた。
のぞいてみると、黒猫が3匹いた。3兄弟だったが、2匹の子猫は少し白い色の部分があったので、真っ黒のノワールちゃんを譲渡してもらうことにしたという。ブリーダーが手放した子猫だということだった。
ノワールちゃんは、10月に高橋家にやってきた。先住猫のルーイちゃんは全く動じず、くぅちゃんは眼中にない感じだった。
毎日が楽しくてキラキラしている
ノワールちゃんは、家に来てから3、4日下痢をしていて、猫風邪をひいていた。数日間は、ケージに入れて隔離していた。一緒にしてから、ノワールちゃんはルーイちゃんにくっついていたという。
「ノワールを見ていると、すごく他の子に気を遣っているように思います。くぅが病気をした時も、ふらふらしているくぅを脇で支えていますし、自分はなめてもらったことがないのに、グルーミングをしてあげるんです。他の子が私のところに来たり、一緒に寝ていたりしても、自分は我慢しています。ベッドの下でぽつんと寝ているんです。もっとおいでよ、もっと甘えていいんだよと思うんですが、私は後でいいよと言っているかのようです」
最初は、娘が世話をすると言っていたので、高橋さんは一歩引いて見守っていた。ところが、ノワールちゃんが家に来て1か月ほど経った頃、ある朝、ノワールちゃんがしっかり歩けなくなった。動物病院に連れて行くと、高いところから落ちた衝撃でそうなったのではないかと言われ、心配になった高橋さんは、ますますノワールちゃんのとりこになっていった。
「ノワールとの暮らしは、毎日楽しくてキラキラしているんです。朝は、主人の部屋の前で待っていて、用意している間、ずっと洗面所でニャンニャンニャンと甘えて鳴くんです」