伝説の漁師「海人三郎」を追いかける石垣島在住カメラマン 海中での「野生動物のような狩り」に密着

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 それ以前に、島の人間として暮らし、信頼関係を築かなければ、船に乗せてもらうこともできない。何度も酒を酌み交わし腹を割って話をし、職人気質の海人との関係を深めていった。

 08年には、島の海人でもめったに行くことがないという絶海の孤島、尖閣諸島での漁に密着。手つかずの自然と一体化する三郎さんをとらえた。国境問題で緊張が高まり近づくことすらできなくなった今、貴重な記録と言えるだろう。

 のどかに見える島にも時代とともに変化が訪れている。伝統漁法の衰退、漁獲量や魚価の低下など漁業を取り巻く環境は厳しい。ただ、西野さんは悲観していない。「漁業をやってる若手がたくさんいるんです。遠方からやって来る人もいる。これからは、そんな若い人を撮ってみたい」。新時代の海人たちが築いていくであろう未来へ希望を抱く。

 20年にわたって追いかけてきた海人の暮らしは「海人」(平凡社)にまとめられ6月に刊行された。また東京に続き、9月5日からは故郷の大阪で写真展「海人三郎」(キヤノンギャラリー大阪、11日まで)も開催される。西野さんは「自然の中で生きてる人の暮らしを紹介できたら」と話している。

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