人手不足といわれる昨今だが「求人を出しても応募がない」「すぐに辞めてしまう」と悩む経営者も多いのではないだろうか。採用戦略研究所(大阪府大阪市)は、「オモロイ求人企画で、欲しい人材をピンポイントで採用」で注目の、企業の採用活動全般にアドバイスや提案を行うコンサルティング会社だ。
オモロイ求人企画とは何か。ある運送会社では、8月の移転に向けてフォークリフトの運転手を補充する必要に迫られていた。募集開始は3月。短期間で即戦力を採用しなければならない。そこで採用戦略研究所が提案したのが、「フォークリフト選手権」。『私たちを満足させられるかな?』という挑発的な文言に、その横で眼光鋭くニヤリと笑う人事部長が印象的なウェブサイトこそが、その会社の求人サイトだ。「フォークリフト乗り、求む」の募集に応募した6名で開催されたのが「フォークリフト選手権」というわけだ。確実に彼らのレベルを見極めた運送会社は、結果5名を採用。「実は事前のヒアリングで、この業界は血の気の多い人間が多いと話題になった。ならば、徹底的に彼らの気持ちをあおる求人広告をとご提案した」と語るのは採用戦略研究所の梶田さんだ。
また、あるパン工場の求人サイト。こちらは笑顔の従業員が並ぶ、温かい雰囲気の求人サイトだが、画面の左半分に社長の熱い思いがぎっしり綴られている。何度もスクロールして、やっと読み切れる文章量だ。「とにかく社長の思いが強かった。それに共感してくれる人だけ欲しいという希望だったので、4時間のヒアリングで思いのたけを語ってもらい、手紙のような文章にした」と回想する梶田さん。以前、採用した従業員との気持ちのすれ違いで苦労したという社長は、正社員とパート従業員とで13名の採用に成功した。
「弊社はクライアントの思いを汲み取るのが仕事。最初のヒアリングで欲しい人材像を浮き彫りにし、そこに特化したアイデアをご提案する。一般的な形の求人もご提案するし、ご紹介したような極端に振り切った求人もご提案する。振り切り型はそれなりの覚悟が必要と思うが、それをやる熱量があるクライアントとはとことん付き合う」と語るのは、同研究所執行役員でマネージャーの笹元さん。隣で梶田さんが「社長や人事の思いがうまく表現できなければ、叱責されることも。僕らも鍛えられる」と苦笑いだ。
「あなたが欲しい、と個人に訴えかける求人は反応が大きい。逆に幅広く募集しようと『誰でもOK』としたり、単に『空調設置スタッフ募集』と呼びかけるだけでは、人は来ない」と笹元さん。さらに、欲しい人材をピンポイントで採用した後は、従業員同士の信頼関係も育まれやすいという。梶田さんは「うまくマッチングできれば会社も従業員も、みんなが幸せになる。これからもクライアントの期待に応える採用をご提案していきたい」と語った。