「ブラック畳」「円形畳」「車内畳」…攻める若手職人 京都から国内外へアピール

どなどな探検隊(パートナー記事)

京都新聞社 京都新聞社

京都から高い技術生かす

 京都畳商工協同組合が運営する京都畳技術専門学院(京都市上京区)には、全国から畳職人を目指す若者が集まる。有名な社寺や茶室がある京都で学び、高い技術を生かして活路を見いだす若手が続々と誕生している。

 その中の一人、横山充さん=北区=は東京出身で米国や豪州で働いた後、一念発起して同学院に入学した。語学力を生かし、今では海外20カ国以上と取引がある。畳が市松模様に見える茶室や畳表を側面に貼った椅子などで畳の可能性を広げていて、12日まで開かれていた京都国際写真祭「KYOTOGRAPHIE(キョウトグラフィー)2019」では建仁寺塔頭の両足院(東山区)に黒い畳を敷き詰めた。横山さんは「畳は海外で注目を集めている。自然素材が評価され、落ち着くため、瞑想(めいそう)にいいと言われる」と手応えを感じている。

 3月に兵庫県で開かれた「天皇陛下在位三十年記念第30回技能グランプリ」で、内閣総理大臣賞に輝いたのは三宅克伺さん=左京区。会場で手縫いの畳を仕上げ、減点ゼロという畳職人で2人目の快挙を成し遂げた。寺院や料亭の仕事で鍛えられ、手縫いの正確さ、美しさで一目置かれる存在だ。座布団代わりの丸い畳など、現代の生活に合わせた提案もする三宅さんは「もっともっと上を目指したい。追い求めていけば仕事は楽しくなる」と笑顔を見せる。

 横山さんが修業した「もとやま畳店」(北区)の4代目本山浩史さんは現在、本格的な茶室をしつらえて売り上げを伸ばしている。炉の周囲などの精緻な造りの畳が関東でも人気だ。卓越した技術を応用し、所有する車も畳敷きにした。アイスクリームのテレビCMにも手掛けた畳が採用されるなど、活躍の幅を広げる本山さんは「畳には技術の高さが美しさとなって表れる。本山の畳だから欲しいという顧客を増やしたい」と意気込んでいる。

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