―野暮なことを伺いますが、このポエムはどういう意味ですか。
「試飲の段階でタンバリンの音が聞こえました。そして少女が傷だらけのクマを抱いていました。もちろん何も言いません。俺も聞きません」
―それがマディ?
「そう、そして女の子はジェニー。こないだはインタビューで酔っぱらってエリカって言ったけど」
―片岡さんはクロアで具体的に何をしていらっしゃるのですか。
「商品プロデュースとブランドイメージとコンセプトですね。常にこのブランドは進化をしていきます。俺の脳と一緒にね。テイストの部分は醸造の人間を心底信頼しています。俺はビールを飲まないからね。彼らはクロアという俺の脳や表現を支えている唯一の存在」
―(?)毎回大反響になることについてはいかがですか。正直、世間なんてチョロいなとか思ったりするのでは。
「チョロいのは俺の恋心だけです。学生の頃から消しゴムを貸してもらうだけで女子を好きになってしまう。しかし最近は46歳になり、水のペットボトルを恐がる猫のように女性を避けて生活しています」
―クロアの商品はすごく売れているんですよね。
「今回のタンバリンの件で既存のラインナップは全て完売したそうです。俺とクロアを生んだこのグループ会社のオーナーの判断は間違っていなかったということです。彼との出会いでこの物語が始まり、これだけの人たちに響いた。まあ発売前はいつも口にはしないが、社内は不安でしょうけど。俺のような世間を考えずたった1人で勘だけで生きてる人間と違い、みなさん普通の常識人ですから」
―ありがとうございました。すみません、声がすごく眠そうなのがずっと気になっていたんですが、もしかして寝起きですか?
「いえ、今ちょうど薄れゆく意識の中です。まさに夢の中です。こんな騒ぎではまだまだ俺は起きないでしょう。そしてクマのマディの声がします。『おまえは今幸せか』と。その答えは数年後また聞いて下さい」
さあ、いかがだっただろうか。片岡さんはポエムのイメージそのままの、本当にぶっ飛んだ危険な男だった。しかも、電話を切るとすぐにこんなメールが送られてきた。
「タンバリンは今完売状態で問い合わせが鳴り止みませんが、クマのマディはバーチャル張本のように不自然にあなた方のそばにきっと現れるだろう」
た、助けてくれ!!!!!!
■クロア http://www.chroa.jp/