世界中のインターネット利用者の多くがスマホなどのモバイル機器からの接続となった現在、サイトの読み込み・表示速度の向上は喫緊の課題です。そんな中、とんでもない爆速ぶりで、ウェブ界隈の注目を集めているサイトがあります。「海上自衛隊第101掃海隊」のホームページです。それは、表示速度・世界一ともささやかれ、ある意味ウェブデザインの究極最終形と名高い「阿部寛」さんのホームページにも負けぬ劣らぬ実力といいます。表示速度も、そして…誰もが目をむく「シンプルすぎる見た目」も…。
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「海上自衛隊第101掃海隊」は呉を拠点に活動する、海上自衛隊の掃海部隊のひとつです。いざ、アクセスしてみると…。3、2、1、ババーン! 迷いもなく、もともとそこに存在していかのように瞬時に現れます。これは…本当に…速い…ですね!
しかし、より驚くのはその見た目です。背景は無地の水色一色。文字には斜体が多用され、トップのロゴ画像にいたってはタイトル文字と被っているという大胆さ。ああ、この自由で懐かしい感じは…そうです!1990年代、インターネットが始まったばかりころ・ネット黎明期のホームページデザインですね!
それは同じ爆速ぶりで知られる阿部寛さんのホームページと同じカテゴリ。デザインのレガシーにこだわり続けて「表示速度」という実利を取る戦略なのでしょうか…。ただ、掃海隊のページはスクロールをしていくと、より衝撃の事実が明らかになります。
「information」の領域に書かれた1行の情報…「2019.6.4 ホームページ再開設しました」。
…えええっ!!!このページ、最近できたの!?…この令和の時代に再開設したのに、どうしてこんな感じのデザインに…。思い切って第101掃海隊の担当者に聞いてみました。
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―ホームページを再開されたのですね。
「多くの方々に海上自衛隊、掃海隊群及び第101掃海隊の任務や装備、活動内容などをご理解いただくため、以前から存在していたページを今年の6月4日に再開しました。再開にあわせて、デザインは以前のものからは変更しています」
―デザインはリニューアルしていたんですね!?リニューアルしたのに、このデザインとは…。
「はい。それぞれのコンテンツをシンプルに作成し、わかりやすく端的にPRできることを重視した結果です」
―何かすごいこだわりがあってこのデザインになったのでしょうか。まさか、本当に阿部寛のサイトをライバル視して、爆速を狙ったなんてことは…。
「わかりやすく端的にPRできることを重視したもので、速さを意図したわけではありません」
―どのような方法でデザインされているのでしょう。
「市販のソフト(ホームページビルダー)を使用して作成しています。海上自衛隊では部隊ごとに部外向けのホームページを作成し、活動内容などをお知らせすることが一般的だといわれています」
―わかりやすく端的にPRしたかったとのことですが、ホームページを通じて一般の方々に特にお知らせしたいことはありますか?
「第101掃海隊は『いえしま』型掃海管制艇2隻で編成されています。海上自衛隊で最も古い木造船で、この艦種は当隊にしかありません。また、遠隔操縦式掃海具(SAM)を運用する唯一の部隊です」
―掃海隊の活動について、ぜひ教えてください。
「掃海隊は機雷の除去などの『機雷戦』を主たる任務としています。機雷は武器としての費用対効果が高いことから、多くの国々が保有しており、海洋国家である我が国にとって脅威となりかねません。私たちは日々の訓練を通じて能力の維持・向上に励み、海上交通の安全確保に努めています。また、東日本大震災や西日本豪雨の際には災害派遣活動にも従事しました。ホームページを通じて、任務や活動を理解いただく参考になればと思います」