河内音頭の盆踊りが東京・錦糸町で3万人動員の夏フェス化、自由度の高さで独自の進化

北村 泰介 北村 泰介
錦糸町の河内音頭チラシ
錦糸町の河内音頭チラシ

 プロデュースや雑誌での執筆など、音楽に関わる活動を幅広く続ける鷲巣氏は「最初、真っ暗な中で太鼓と歌だけだったと思うんです。それで三味線が入り、電気が安定して供給されるようになると大きな音が出せるエレキだと。それは非常に必然性のある導入だと私は考えています。本来、民謡は民衆の間から沸き起こった踊れる音楽とするなら、そうやって変わっていくものでは」と解説する。

 河内音頭が一般的な知名度を獲得した例としては、60年代に大ヒットを飛ばした鉄砲光三郎であり、バブル景気末期の91年にアルバイト情報誌のテレビCMで話題になった河内家菊水丸の「カーキン音頭」。世代差はあれど、従来の民謡にはない大衆性と先鋭的な音楽性を感じさせた。

 踊りの自由度も高い。河内音頭における踊りの一形態「マンボ」について、鷲巣氏は「戦後、(キューバ出身の音楽家)ペレス・プラードによるマンボの大ブームがあって、新しい踊りはとりあえず“マンボ”と名付けられた。東京と本場とは拍や間合いの取り方が違う。河内の人が『あれは錦糸町マンボや』と言われたみたいで」と由来を説明し、「その微妙なズレが非常に面白い」と指摘した。

 さっそく本番前の練習会を取材。「手踊り」や「錦糸町マンボ」の動きを初歩から学んだ。浪曲師の瑞姫(たまき)さんは「初めて参加しました」と、本業の浪曲に通じる物語に節(ビート)が絡む踊りを体に刻んだ。

 鷲巣氏は「鳴門会、五月会、鉄砲光丸会という河内の3大会派に来ていただきます。生の音頭を味わっていただければ」と意気込む。会場は錦糸町駅近くの竪川親水公園で、両日とも午後5時半から同9時半まで。参加費無料だが、100円以上のカンパで特製うちわがプレゼントされる。平成最後の夏、3万人の「エンヤコラセー、ドッコイセー」が錦糸町にこだまする。

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