今回はまぶたが下がってきた状態、眼瞼下垂(がんけんかすい)についてのお話です。眼瞼下垂の原因で1番多いのは老化にともなうもので、ご高齢の方の中には「前が見えないのでは?」と思うほどまぶたが下がっている方もいます。
茶目の中心にある黒目の部分(瞳孔)にまぶたがかかると、自分のまぶたが視界に入って見えにくくなってしまいます。日常生活をおくるうえでも不自由になってくるので、手術を考えた方がいいでしょう。
眼瞼下垂は最近では、30~40代にも増えてきています。コンタクトレンズを長い期間使っていることが原因でおこる、コンタクトレンズ起因性の眼瞼下垂です。コンタクトレンズとまぶたが接触する刺激でも下がりますが、1番多いのはハードコンタクトレンズのつけ外しの際に強く引っ張りすぎることが原因です。
ハードコンタクトレンズを外すとき習慣的にまぶたを強く横にひっぱる方が多いですが、引っ張り刺激で筋肉が伸びてしまうのです。つけ外しの際は、まぶたを強く引っ張りすぎないようにご注意を。どうしても力が入ってしまう方は、外すときに専用のスポイトを用いたほうがよいでしょう。
まぶたの皮膚やまぶたをあげる筋肉は、1度伸びきってしまうと自然に治ることはありません。日常生活で不自由さを感じたら手術で治療することができるので、眼科でご相談ください。眼瞼下垂の病名で手術を行う場合は、保険適応があります。特にご高齢の方では「もう年だから…」と放置している方もいらっしゃいますが、局所麻酔の手術で治せることをぜひ知っていただきたいです。
また、ある日突然片方だけまぶたが下がった…という場合は注意が必要です。突然出現する重度の眼瞼下垂は、動脈瘤が破裂しそうになっているときなど、頭の病気の症状として出ていることがあります。突然まぶたが開かなくなった場合は、自己判断せずできるだけ早めに眼科を受診してください。