最近よく聞く議決権行使の助言会社って何者? 米国発2社が市場ほぼ独占

山本 学 山本 学

 株主総会シーズンになると、大口の投資家の動きを左右する助言会社の意見が話題になるケースは増えている。ISSは2017年に、自己資本利益率(ROE)が5期連続で5%を下回っていた会社のトップ選任には一律反対する方針を示したことで話題になった。結果、いずれも会社提案通りトップが選任されたが、一部の会社でトップ選任議案には賛成票が減るという影響があった。今年は日産自動車のほかにも、お家騒動が起きているLIXILグループの取締役選任について、会社提案の10人のうち8人にISSが賛成。株主が提案した8人のうち、前最高経営責任者(CEO)の瀬戸欣哉氏には反対をすすめたのが話題になっている。助言会社の影響力がどの程度か見定めるうえでも、25日の株主総会は注目かもしれない。

 ただ議決権行使の助言会社に反論する会社も増えている。今年の事例であれば、帝人の子会社で東証1部に上場するインフォコムの社外取締役1人について、インフォコムの取引銀行が傘下にある三菱UFJフィナンシャル・グループに所属した経験があり、独立性が認められないとISSは指摘した。これに対してインフォコムは、その社外取締役が所属したのは三菱UFJFGの前身である東京銀行であり、しかも1989年7月までと30年以上も前の話だと反論した。さすがに会社側の言い分に理があるように見える。13日に開催した株主総会では、候補者全員が取締役として再任した。

 議決権行使の助言会社が実質2社と少なく、それは本当に洗練された意見なのかという指摘は多い。さらに彼らの実務の体制などが明かされていないことを疑問視する声も出ている。日本の事情に疎い海外の投資家ほど、助言会社の意見をそのまま議決権行使に取り入れているとの見方もある。すでに登録制や資格制にするといった議論が欧州を中心に出ているが、議決権行使の助言会社の影響力が強まるとともに、あり方に対する関心も高まるだろう。

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