-私も、「違うやろ」と思ってしまいました。
「いえ、そういう方が大半だと思います。でも、いじめ防止対策推進法によるいじめの定義は『被害者が心身の苦痛を感じていること』が根幹で、一見いじめと思えないことも『いじめの芽』として対処することが求められています。さらに、たとえ教師が『いじめの芽』と捉えて子どもの家庭を訪問し、指導しようとしても、親御さんに『そんなの、いじめちゃうやろ』とシャットアウトされては元も子もありません。教師はもちろんですが、ご家庭でも考え、理解して頂けるきっかけになれば」
確かに、冒頭の事例では、教えられたA子さんは泣いてしまいました。困っている姿を見て教えてあげようと思った優しい気持ちはしっかりほめつつ、なぜ相手が泣いてしまったのか、次からどうした方がいいか、さらに教えられたくないと感じたら、その気持ちをどう伝えればいいのか、親子で考えることが大切なのかもしれません。
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▼鳴門教育大・阪根健二教授(学校教育学)の話
法律上の「いじめ」の定義は、教師や保護者が子どものころとは大きく変わっている。チラシの例も①双方とも児童生徒②一定の人間関係がある③心理的・物理的影響を与えている④受けた側が心理的苦痛を感じている-といういじめの4要件に照らせば「いじめ」になる。文科省はこうした「兆候」や「芽」も含めて積極的に認知するよう求めているが、都道府県ごとの認知件数には大きな開きがあり、浸透しきっていないのが現状だ。学校現場でも戸惑いがある中で、今回のチラシは思い切った対応だと評価できる。ただポイントは、各校が保護者にこのチラシの真意を伝えること。それをして初めて、いじめの芽を意識する機会になる。