2018年6月18日午前7時58分ごろ、大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震が発生した。死者6名(災害関連死1名含む)、負傷者462名、家屋の全壊・半壊も多数あり、ライフラインや交通機関への影響も大きかった。
元阪神の浅井良さんが大阪・北新地で経営するバー「AZAS’」も被害を受けた。アルコールのボトルやグラスが床に散乱。ただ、地震発生が月曜朝だったことが不幸中の幸いだったと言う。
「新地の店はウチも含めて大半が日曜定休。月曜の朝に火を使っている店はほぼなかったと思います。他の曜日や、まして営業時間中だったらと考えると怖いですよね」
1年前の出来事を、浅井さんはそう振り返った。自宅から自転車で店に向かった浅井さんは、スタッフを呼ぶことはせず一人で店を片付け、翌日には営業を再開したそうだ。
2001年に自由獲得枠で阪神に入団し、13年シーズン限りで引退。翌14年10月に大阪・心斎橋にバーをオープンした。
「現役のときからよく飲みに行っていたし、お酒もしゃべるのも好きなので、やってみようかなと。北新地に移ったのは、心斎橋の街の雰囲気が変わってしまったからです。外国人観光客や若い人たちが増えて、バーの客層ではなくなったので」
元虎戦士が営む店とあって、甲子園での観戦帰りに立ち寄るファンもいるが、客の多くはスーツ姿のビジネスマン。会話が弾むよう、社会問題から経済の話題まで、情報収集には余念がない。
「お酒は基本、どこで飲んでも同じ味ですからね。バーは“人”で来てもらうしかない。ニュースを見て、ネットで調べて…知識の幅は広がったと思います。あとはマメに連絡を取ったり、何か役に立てることはないか気を配ったり。店での接客以外にも集客につながることはありますからね。この仕事で得た人脈は自分の宝になると思っています」
今年で40歳。自ら店に立つことを考えれば、「長くできる仕事じゃないかもしれない」。ただ、だからこそ、「今はこの仕事を命懸けてやるしかない」。現役時代と変わらぬ飄々とした語り口ながら、熱い言葉が聞かれた。