「エバですけど、あれはね、私がつたないながらも、ドラマもこしらえたんですよ。台本が遅れましてね。間に合わないということで、自分で考えなきゃならなくなった。(ストーリーまで)考えるとなると、(細かい部分の)調べ物ができなくなる。それならば、男と女の話を書くのが一番簡単だと思った。私はおセンチ人間。おセンチなものを描くのが好きで、その部分で描いた」。さいとう氏は傑作が生まれた舞台裏を明かした。
では今後、ゴルゴの母親を描く可能性はあるのか。同氏は「ないでしょうね」と言い切った。「彼に母のイメージは全くない。というよりも、私は彼を人間だと思っていませんから。父のことも母のことも考えないようにしている」。ゴルゴとは作者にとって何なのか。さいとう氏は「よく言うことを聞いてくれる役者と監督の関係です」と明かした。
「男は仕事。仕事が男。でも全てのことは女の方が勝(まさ)ってますもん」。さいとう氏も、ゴルゴも仕事に生きる。だが、女性にはかなわない。そんな作者の心情を汲みながら読み返して見ると、また新たな発見ができるかもしれない。