使っていない銀行口座はありませんか? 厳しくなる本人確認、今後を考えて整理を

使っていない預貯金口座はありませんか?(ピエロルイジ/stock.adobe.com)
使っていない預貯金口座はありませんか?(ピエロルイジ/stock.adobe.com)

 令和が始まりましたが、平成、昭和を振り返ると、大きく変化したものの一つに「個人情報」への意識や取り扱いがあります。今では当たり前に個人情報保護の大切さがありますが、私が子どもの頃は、個人の情報の保護や、いわゆる本人確認はごくゆるい、場合によっては形だけのものでした。兼業農家が大半の地域で生まれ育った経験では、家の扉は開かれ、隣近所の誰がどこで働き、どこに進学し、どういう生活をしているかが自然と聞こえてくる環境でした。地域性もありますが、どこでも昭和や平成の初めの頃と比べると、個人情報を守る意識は強くなっていることでしょう。

 個人情報を守るためには、まず、その個人が本当にその本人かを確認する必要があります。本人確認が大切です。金融機関では、昔は簡単に家族名義の口座を作ったり操作したりすることができていました。しかし現在では、本人確認が厳しく制度化され、家族であっても、金融機関窓口で手続きを進めるのはなかなか困難なことが多いものです。

 とはいえ、いざとなれば生活を継続するために、口座の管理を他者に代わってもらう必要もあるでしょう。成年後見制度の利用や金銭管理サービスの利用を考える場合もあります。もちろん未来のためだけではなく、日々の金銭管理を簡単に明確化できるよう、預貯金口座については整理し把握しておきたいものです。

 私が学生や社会人になりたての頃は、まだ各金融機関でお手軽に口座開設ができる時代でした。一つの金融機関に給料振込用、生活費管理用、お小遣い管理用、いざという備え用などと目的別に複数の口座をもつことも可能でした。実は私は郵便局に複数の口座を作っていました。またその後、転職すると給料の指定金融機関が異なっていて新たな通帳が増えました。さらに、大手銀行が合併するなどし、一つの銀行に思いがけず2口座あるような状態にもなりました。2018年のマイボイスコムによる「銀行の使い分けに関するアンケート調査」では、5口座以上持つ人が3割強とのことです。皆さんはいかがでしょうか?

 通帳があちこちに複数あると、どうしても使わないものもでてきます。さらに、カードや生活費の引き落としなどが、いろんな口座から引き落とされる場合、より一層管理が困難です。口座を長い間使っていないと、休眠口座になってしまい、再度使えるようにするためには手続きが必要です。

 私は仕事上、利用者様の開設口座などを確認しますが、多くの方が複数の口座を持ち、場合によっては使っていない口座は作っていたこともすっかり忘れられています。長い人生の中で住まいを変わられ、その土地で口座を開設されている場合もあります。たいていは紙幣で引き出せる分は引き出してしまい、残高が数百円程度ですが、塵も積もれば山となるです。いくつかの口座の残高を足し合わせると、生活の足しにできる金額になります。生活状況によってはそのお金が大きな意味を持つ場合もあります。

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