住宅街の一角、民家の庭で野良猫が産み落とした子猫たち。離乳後しばらくは、その家の人がエサをあげていたが、飼うことはできないと保護主さんに保護の依頼がきた。
民家の庭で産まれた子猫たち
横浜市の閑静な住宅地、一軒の家の倉庫のひさしの下で野良猫が3匹の子猫を産んだ。2014年7月のことだった。家人は、猫を飼っていない。ニャアニャアと鳴き声が聞こえる場所へ近寄ってみると、子猫たちを発見したという。
「離乳後しばらくはエサをあげていたが、やはり面倒をみきれない。このあたりは車の往来も激しいし、ひかれては危ない。かといって家の中にも入れられないし、面倒をみてくれないか」と、保護主の阿部さんに連絡があった。
阿部さんは、猫たちを捕獲器で捕獲し、お母さん猫は2014年8月にTNRをほどこした。
熱い眼差しで「もらって」と訴える子猫
2014年5月、神奈川県に住む菊池さんは、新しい家を購入したので、犬か猫を飼おうと思っていた。捨て猫の里親募集のビラを貼っていないかスーパーや動物病院を見て回ると、動物病院に「子猫あげます」というビラが貼ってあった。
「すぐに連絡したんですが、既に里親が決まっていました。でも、その人が阿部さんのところに猫がたくさんいると紹介してくれたんです」
7月に阿部さん宅に猫を見に行くと、民家の庭で産まれたキィちゃんとウタちゃんが残っていた。生後3~4カ月だった。菊池さんのご主人が「三毛猫もほしい」と言い出したので、どうするか話し合っていたら、
「ケージの中からキィちゃんがじーっと見つめていたんです。その視線が熱くて、どうしても気になって仕方がない。三毛猫のウタちゃんとキィちゃん、2匹とも迎えることにしました」
猫と暮らしはじめて変わった人の暮らし
最初は警戒心が強く、キィちゃんもウタちゃんも、隠れてしまうかケージの中に引きこもっていたが、2週間くらいで抱っこさせてくれるようになった。
キィちゃんは、いまも人見知りが激しくて誰かが来ると隠れてしまう。しかし、お母さんのことだけは大好きで甘えるという。ウタちゃんのほうがキィちゃんより、人になれるのが早く、どっしりと構えているタイプだ。
キィちゃんとウタちゃんは、時々ケンカをするが、ケガをするような致命傷は負わせない。
猫たちも幸せになったが、菊池家では、人にも変化があった。菊池さんは、以前は週に5日間働いて忙しくしていたが、いまでは猫に時間をかけるようになった。そのせいかイライラする時間がずいぶん減ったという。ご主人は、猫が大好きだが、独身だとなかなか飼うことができなかった。しかし、念願かなって猫との生活を楽しめるようになったという。