大事にしていた三毛猫が急死。深い三毛ロスに陥った飼い主の菊池さんは、新しい猫を求めて譲渡サイトを閲覧した。そこには、急死した猫を思わせる三毛猫がいた。
無責任にエサを与えて、野良猫が増殖
ネネちゃん(元みかんちゃん)は、2015年、推定1歳の時に保護主さんに保護された。野良猫が好きな人が不妊手術は施さずエサだけをあげていた。しかし、近所から苦情が出たため、保護主の武田さんに「保護してください」とレスキューの依頼が来たのだ。武田さんによると、保護した猫の数は10匹以上、子猫も3匹いたそうだ。その中の1匹がネネちゃんだった。猫たちは野良猫生活が長く、子猫たちも母猫に人間は怖いと“教育”されているか、全く人になつかず、キャリーに入れるのも手こずったという。
神奈川県に住む菊池さんは、2匹の保護猫を飼っていたが、三毛猫のウタちゃんを4歳の時に急病で亡くしてしまった。そのショックで三毛猫ロスになった菊池さんは、ウタちゃんが亡くなった翌月、2019年2月に譲渡サイトを見て猫を探し始めた。
ある日、譲渡サイトにウタちゃんの面影がある猫が出ていた。
「人になれていなくて、抱っこも何もできませんと書いてあったのですが、4歳ならウタと同じくらいの歳ですし、人になれなくてもいいと思いました」
急死した猫の面影に惹かれて
菊池さんは、亡くなったウタちゃんのことを思わせる猫に会いに行った。ネネちゃんは逃げ回ってばかりで、とても抱っこなんかできそうになかった。
「ネネちゃんは、ビラに書いてあった通りの子でした。でも、4歳の大人猫はもらい手がつきにくいので、うちの子にしようと思ったんです」
保護主の武田さんのところに猫を見に来る里親希望者は、たいてい子猫を希望する。成猫だったネネちゃんは、もう2年もの間、武田さん宅で過ごしていたのだ。
2019年3月菊池さんは、カンナちゃんという猫のことも気に入ったので、2匹とも譲渡してもらうことにした。この時、菊池さんは5匹の猫を飼っていたので、合わせて7匹の大家族になった。
人も猫も心地良い距離感
菊池家に来てから5月で2ヵ月になるが、ネネちゃんはいまだに抱っこもさせてくれない。生後10カ月のカンナちゃんにいたっては、触ることさえできなかった。最初は、2匹ともケージに入れていたが、あまりケージの中に入れておくのもどうかと思い、外に出したら少しずつ人のいるところにも来るようになったという。いきなり触るとびっくりするが、そっとなでられる感じにまでなってきて、少しずつ人との距離が縮まっている。
「他の猫はベタベタしてくる子が多いんです。だから、離れている子がいてもいいと思っています。何年か経ってなついてくれたら、それはそれで嬉しいし」
無理に自分の距離感を押し付けない。このゆるい感じが、人も猫も心地いいのかもしれない。