ハリハリ鍋「徳家」が52年の歴史に幕 商業捕鯨再開を前に閉店する本当の理由

山本 智行 山本 智行
時折涙を浮かべながら52年の歴史を振り返る大西睦子さん
時折涙を浮かべながら52年の歴史を振り返る大西睦子さん

 「後継者の問題もありましたし、商業捕鯨が再開すれば、最初はしんどいかもしれないけれど、ご家庭にかつてのようなクジラ料理が戻るでしょう。料理店が継承していた役割は終えたかなと思えて。ひとつの区切りです。安堵感が芽生えました」

 もちろん、思い出は尽きない。捕鯨国アイスランドのレイキャビクでは大西さんがパーティーを主催し、50人をクジラ料理でもてなした。アメリカインディアンのマカ族とは相互に訪問し、親交を深めた。

 「商業捕鯨再開がもっと早ければ、あんなことやこんなことしたいと思ったでしょう。でも、もうこの歳やからねぇ。何かの手伝いはさせてもらいますが、この割烹着ともさようなら。落ち着いたら温泉旅行でも行きます。隠居生活です、ハハハ」

 幕引きを前にNHK、関西テレビなどの取材依頼が入り、最後の営業となる25日は予約で満席だとか。

 「普通の料理店の女将がクジラのおかげでメキシコ、ノルウェー、グリーンランドなどいろんなとこに行け、いろんな人に会えました。楽しい人生でした」。その表情は晴れやかだった。

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