新規のクライアントを開拓してパートナーになってもらい、いかにして自社(自分)の利益に結び付けるか…。営業活動は、自衛隊の戦闘部隊が敵部隊を攻撃する行動パターンとよく似ています。あらためてこれまで説明してきた作戦行動を振り返り、ビジネスの局面にどう生かせるかをまとめてみました。
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最後に、これまで書ききれなかった細かい行動にも触れながら、流れを整理してみましょう。
1.偵察:敵の居場所を探す。
→見込み客の探索:世の中のニーズを把握して見込み客のタイプを絞り込む。
2.威力偵察:軽度な攻撃を仕掛けてみる。決戦的な戦闘はしない。
→アポなし飛び込み営業:失礼を承知しつつも、対応の様子から手ごたえを探る。
3.斥候:居場所が判明している敵に関して詳細な情報を収集。
→アポをとる:ターゲットを絞ってさらに詳しい情報を集め、訪問を申し込む。
4.指揮官は誰?:編制上の指揮官よりも、実質的に部隊を動かしている人物がいる場合があります。たとえば表面的には士官学校を出たばかりの若い小隊長が指揮を執っていることになっていても、実際にはベテラン下士官が小隊を仕切っている事例は珍しくありません。
→キーマンを探せ:名目上は部署の長でも決定権を握っているとは限りません。現場経験が長い人の判断に委ねられている場合があります。
5.第三者からの情報を軽視しない:偵察隊からの情報のほかに、一般民間人からの情報にも耳を傾ける。
→ネットの情報を過信しない:ネットに出た時点ですでに「過去の情報」です。しかも本当かウソか確かめようがありません。なるべく新しい生の情報を得る努力が必要。
6.どんな結果を出したいか?:敵を殲滅するor足止めするだけ。目的によって戦い方が変わります。つまり攻撃するのか防御するのか。
→最終的な目標:自社の商品やサービスを買ってほしいor相手の商品やノウハウが欲しい。
7.いったん攻撃を始めたら中断しない:反復+波状攻撃で相手に防御の余裕を与えない。
→再訪問を成功させる:「また来た」「何しに来た」と言われないように、相手に役立ちそうな提案や情報提供もする。
8.思いのほか敵が手ごわい:原因は何か? 敵の戦力を見誤った? 敵に援軍が現れた? 対処方法としては、無傷の部隊と交代させたり援軍を送ったり、あるいは別の角度から攻めたり、いよいよダメな場合はいったん退いたりします。
→相手はなぜ難色を示すのか:興味を示しているのに「買う」と言わない理由があるはず。価格? 条件? ライバルの出現?
9.突撃のタイミング:敵の火力・抵抗が最小になったときがベスト。
→商談中に「ここだ」と思うタイミングがあるはずです。相手の気が変わらないうちに、一気に契約まで押していく。
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以上、すべてのビジネスにそのまま当てはまるわけではありませんが、参考になる情報は多かったと思います。ここまで8回にわたってお読みくださいまして、ありがとうございました。