子猫は人を噛(か)むことがある。ヤフー検索の調べによると、今の時期にその関連ワードを検索するユーザーが増えるという。それは「親愛の情」によるものだろうが、別の理由もあったりする。しつけ法も含め、専門家に話を聞いた。
ウェブサイトやフェイスブック、YouTubeで猫の動画や画像投稿を展開するコミュニケーションサイト「にゃんチューブ」を運営するキッズプレートの代表・茂出木謙太朗さん。取材で数多くの猫や愛猫家と接し、自身も猫を飼っている経験を踏まえ、子猫が飼い主を噛む理由の1つとして、「歯の生え変わり」を挙げた。
「生後3週間くらいで乳歯が生えて、それから離乳が始まります。猫の譲渡は今、8週間以降が基本。家に来るのは生後2~3か月ですが、8~10か月くらいから歯が生え変わります。その時はムズムズして歯に刺激が欲しくなる。歯ごたえが楽しいから噛む。歯に当たる感触が好き、というのもあるんじゃないかなと思います」
もちろん、親愛の情でも噛む。「遊んでいて興奮し始めると噛み始めます。いくつかの意志表示があって、楽しくてしょうがないからカプカプ噛むのと、反撃の意志というか、人間だったら『やめて!!』というところを噛んで表します」と茂出木さん。その噛み方には、しつけが必要なケースがあるという。
「興奮している時は加減が分からない。キャー!となってガブッと噛むと結構痛い。人間が痛いと思うくらい噛んだら、しからないとダメです。そこで怒らないと、大丈夫だと猫は思ってしまい、親愛の情じゃない時にも噛むようになってしまいます」。その怒り方のポイントは「言葉」と「音声」を決めておくことだという。
「基本、たたかない方がいいので、大きい声で『ダメッ!』と、しっかり目を見て怒ることが一番重要です。怒る時に名前を呼んじゃいけません。『タマッ!』って怒ると、自分の名前を呼ばれているのか、『タマ』という名前を『ダメ』という意味で言っているのか、区別がつかず、どうしたらいいか分からなくなるからです。だからダメな時は『ダメッ!』とか『コラッ!』とか、怒った時に使う言葉を決めておかないと、猫がかわいそうですね。猫は自分の名前が分かっていて聞き分けられますから」
また『ダメよ~』などと中途半端に怒ることもよくないという。同氏は「猫は言葉の意味を認識できず、音として受け取りますから。猫が嫌いな大きい音と同様、大きな声を出すことが重要ですね。その瞬間が勝負です」
子猫は噛む。茂出木さんは「飼い主の手の臭いをかぎながらカプカプ噛むのは人間の情を承認しているということ。基本、甘噛みしてくる時は、甘えている時か安心している時だと思って間違いはないです。そして、加減を知らせるために怒る」と、まとめた。子猫との付き合いには“緩急”が必要となる。