3月に堺市内の実家トイレ内での練炭自殺を装って弟を殺害したとして、殺人の疑いで同市の土木工事会社社長足立朱美容疑者(44)が逮捕された事件を受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は22日、デイリースポーツの取材に対し、テレビのインタビューで弟の死を自殺として自身の関与を否定するなどしてきた足立容疑者の数々の矛盾点を指摘した。
小川氏は捜査関係者や周辺取材を通して、「パソコンで書いた遺書とされる文面や言い回しが被害者のものではないうえに、被害者はパソコンで手紙を書いたことが一度もないこと。トイレの目張りに使われた接着剤の容器やライター、マッチが別の部屋から発見されたこと。被害者はリゾートホテルの会員権を購入して家族で行く準備をしており、自殺の動機がないこと。被害者が亡くなった当日、母親も抹茶オーレを飲んで昏睡(こんすい)状態になっていること」などを指摘した。
さらに、1月26日に同容疑者の父が自宅で倒れて低血糖状態で搬送され、脳死状態で現在も入院していることに注目。両親や弟と別居している同容疑者は父が搬送された日と弟が死亡した3月27日の前日から、いずれも現場となった実家に滞在していた。
足立容疑者は容疑を否認しているが、小川氏は「同容疑者が別の場所から被害者をトイレに運んでいった際の“圧痕(あつこん)”など、捜査関係者は(立件への)決め手を持っているようだ」と指摘した。圧痕とは、圧力を加えられた時にできる跡のこと。医療用語としては、皮膚を指で強く押した時などに、へこんだ部分が元に戻らなかったり、皮膚の下の浮腫などを示す状態をいう。