年3度の自殺期…「どこまでも、生き抜いて」

夜回り先生・水谷修/少数異見

水谷 修 水谷 修
「どこまでも、生きぬいて…」と呼びかける夜回り先生こと水谷修氏
「どこまでも、生きぬいて…」と呼びかける夜回り先生こと水谷修氏

 日本における自殺者数は、2003年の3万4427人をピークとして、それ以降減少を続け、2017年には、2万1321人まで減りました。これは、国や各自治体が、この問題に熱心に取り組んだことの成果だと評価できます。しかし、そのような中で、青少年の自殺者数は、多少の減少傾向は見られても、他の世代の減少と比べると僅かであり、この問題に対する速やかな対策が、各方面に求められています。

 実は、青少年の自殺者が他の時期と比べ急増する時期が、1年の間に3回あります。そして、それぞれに固有の特徴があります。

 まず、私たち青少年の相談に関わっている人間が一番緊張するのは、8月の第3週から9月の第4週までの1か月間です。私の元に死を語る相談が最も増えるのもこの時期です。一学期に、新しい学校や新しいクラスで、良好な人間関係を形成することができず、孤立した青少年や、いじめなどで追い込まれた青少年が、楽しいはずの夏休みを、家にこもり心を病み、新学期の始まりによる通学のプレッシャーから死を選択するケースです。

 二番目に青少年の自殺者が多いのは、2月から3月です。このケースでは、特に中学3年生、高校3年生の自殺者が増えます。入学試験に失敗し、それにより追い込まれ、死を選択するケースです。

 そして、三番目に自殺者が多いのは、まさに今迎えている5月の連休、ゴールデンウィークです。この時期の自殺する青少年には、特徴があります。特に、大学の一年生、そして地方出身の学生の自殺者が多いのです。夢を持って都市部の大学に入学し、アパートや寮での一人暮らしをする若者たちが、4月に、友人を作ることができず孤立し、しかも慣れない都会での生活の中で追い込まれ命を絶っていきます。

 この問題は、すでにほとんどの大学で、大きな問題として捉えられており、4月に地域ごとの学生の交流会を設定したり、大学生たちによる様々なSNSでの交流を進めたりすることの中で、何とか一つの命も失うことのないようにとの取り組みがなされています。

 これを読んでいる、今苦しみ悩んでいる若者たちにお願いです。絶対に死を選ばないでください。つらいときは一度逃げればいいんです。空を見てください。いくら今曇っていても、その向こうにはいつも太陽と星があります。止まない雨や晴れない曇りはありません。どこまでも生きぬいてください。明るい明日は来ます。

 また、これを読んでいる若者たちのご両親や若者たちと関わっている人たちへのお願いです。ぜひ、この連休中に何度も連絡してあげてください。うるさいぐらいに。ここに君を愛し、心配している人がいるんだと知らせてあげてください。

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