年が明けてから約1カ月。「まだ初詣を済ませていない」という方にお勧めしたいのが日本で唯一、伊奴姫神(いぬひめのかみ)を主祭神とする伊奴神社だ。干支にちなんだありがたい神社として、特に今年のような12年に1度の戌(いぬ)年には例年の倍以上もの参拝客が訪れるそう。
実際、取材に訪れた1月中旬の日曜日の午後は駐車場もいっぱい。本社までは参拝客が長い列を作り、境内の至るところに人だかりができ、まるでまだ正月三が日かと錯覚させるほどの活気に満ちていた。
神社は名古屋市西区の住宅街にある。西暦673年、天武天皇の頃に稲を皇室に献上した際に建立したとされていて、実に約1340年もの歴史を誇る古社だ。自身も5人の子どもがいたという伊奴姫神にちなんで、安産・子宝にご利益があるとされ、初宮詣、七五三に訪れる参拝客も多い。
パワースポットとしても注目を集めるのが、本社(ほんやしろ)の横に鎮座している安産祈願の白い犬の石像だ。近くを流れる庄内川の氾濫を治め、そのお礼に建立されたという言い伝えが残されている。
安産・子宝に恵まれたいという方は、まず石像の正面でお参りしたあと、犬のお腹をさすり、そのあとで自分のお腹をさするのが参拝の作法だ。取材日は赤ちゃんを抱っこした夫婦がお礼参りとして石像に参拝する光景も見られた。
なお、境内にある参拝者の絵馬を飾る絵馬殿の横には、戌年だけつくられる犬の姿を描いた巨大絵馬も奉納されている。おみくじ、お守りといった授与品も犬をモチーフにした可愛らしいものが多く、見ているだけで戌年の気分を盛り上げてくれる。授与品の数々は、特に愛犬家からの支持も多いのだとか。
戌年だからこそ、犬にちなんだ神社に参拝する。験(げん)担ぎには、この上ない神社だろう。
◆伊奴(いぬ)神社 場所=愛知県名古屋市西区稲生町2-12 電話052・521・8800(社務所)