滋賀の老舗・鮒寿し、台風から奇跡的復活。大津市内で間借り営業

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 2018年、台風21号の被害で全壊し、休業を余儀なくされている滋賀県の郷土料理・鮒寿しの老舗「湖里庵(こりあん)」(滋賀県高島市)。再開までの間、大津市のホテル「商店街ホテル 講 大津百町」で月2回復活することとなり、食通から注目を集めている。

 1784年に創業した名店は、木造2階建ての店舗は天井と壁が吹き飛ばされて営業不可能となった。ただ、蔵と調理場は被害を免れ、調理道具や器も無傷で奇跡的な状態に。

 「創業からずっと鮒寿しを作り続けてきた大切な蔵。地元の気候と蔵付きの菌、つける人の手によって代々味を守ってきたので、もし蔵まで倒壊していたら、二度と『湖里庵』の鮒寿しは作れなくなっていたでしょう。また料理をお出しする場を失うこそすれ、いつでも準備万端でお客様をお迎えできることは不幸中の幸いでした」と、七代目当主・左嵜謙祐(さざきけんすけ)さんは語る。

 1年先まで予約が入る老舗のそんな状況が周囲に伝わり、食文化ジャーナリストで写真家の森枝卓士さんが同ホテルの運営会社に相談。それがきっかけとなり同ホテルのダイニングエリアを間借りする形で、1月から再スタートした。

 これまでは調理済みの料理を客のもとへ運んでいたが、客の目の前で料理を仕上げるライブ感あるスタイルに。「7代目の私までずっとやってこなかった手法なのでとても新鮮な気持ち。お客さまと話ながらこしらえるのも、召し上がる様子を拝見できるのも、初めてのこと」と左嵜さんは話す。また、お客にとっても同店の新しい魅力を発見するきっかけともなるだろう。

 当面は、毎月いずれかの金曜日に2回、完全予約制で営業(金曜以外にも6名以上で応相談)。本店で提供していた「鮒寿し懐石」と「近江懐石」をミックスさせ、鮒寿しほか琵琶湖の魚を使ったコース全11品(13000円・税別サ込)を、6席のカウンターと4席の個室席で提供する。また高島市の店舗は、今春から工事を開始し、年内のリニューアルオープンを目指すとのこと。

(Lmaga.jpニュース・中河桃子)

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