俺たちの「彼女」がここに…江口寿史イラストレーション展 6日に兵庫・明石で開幕

黒川 裕生 黒川 裕生
イラストレーション展の会場を訪れた江口寿史
イラストレーション展の会場を訪れた江口寿史

 革新的なイラストレーションで後進に多大な影響を与え続ける漫画家、イラストレーター江口寿史の作品約300点を集めた「江口寿史イラストレーション展 彼女」が4月6日から、明石市立文化博物館(兵庫県明石市上ノ丸2-13-1)で始まる。江口がライフワークとして描いてきたポップな女性のイメージを前面に出した特別展。5日の関係者向け内覧会には江口本人も来場し、撮影や雑談にも気さくに応じた。俺たちのレジェンドがこんな近くに…。内心ガタガタ震えながら言葉を交わした。

 「江口先生の漫画は、精緻な絵そのものにストーリーがある。私が少年時代に読んできた漫画とは全然違う!」。内覧会に先立ち、同館ロビーで開かれた開会式。江口のイラスト集(私物)を掲げた森本理館長の挨拶がどんどん熱を帯びていく。「イラスト展をここで開催できるのは身に余る光栄。江口ワールドが放つエネルギーをたくさんの人に感じてもらいたい」と深い敬愛をにじませると、臨席していた江口も「作品は現在進行形で増えているので、今、ここでしか見られない展示になっている」と応じた。

 会場を埋め尽くすのは江口の代名詞ともいえる愛らしくもクールな女性のイラストたちだ。大ヒット漫画「すすめ!!パイレーツ」「ストップ!!ひばりくん!」の原画、銀杏BOYZやShiggy Jr.のCDジャケット、熊本県水俣市(江口の故郷)の観光ポスター、各種広告、雑誌の数々。時代を彩ってきた「彼女」たちを内覧会でうっとり眺めていると、江口がふらりと現れ、なんと我々と一緒になって会場を回り始めたではないか。

 「デビューからまだ間もない頃でしたが、すでにすごいオーラでした」と女優の広瀬すずを描いた広告を見ながら語る江口。「自分の作風にはない顔の人を描くのが楽しいんですよ」とボールペンで下絵なしに描いたスケッチを指さしながら語る江口。「ギターはそんなに弾けないけど、描くのは好きなんです」とギターを抱えた女の子のイラストの前で語る江口、江口、江口…。巨匠のあまりの飾らなさに、うっかり「(江口が責任編集長を務めていた)『COMIC CUE』愛読していました!」と握手を求めてしまったが、ふと後ろを見ると、先ほどのイラスト集にサインをもらおうとタイミングを窺う森本館長の姿があった。みんな大好き江口寿史。

 イラスト展は5月19日まで(会期中は無休)。4月27日には江口が会場で当選者の肖像を描くライブスケッチ、同28日には美術評論家の楠見清と江口が対談するライブトーク(事前に申し込みが必要)がある。

 なお、先ほど江口のTwitterをチェックしたところ、「初日にはおれも会場ウロウロしてるよ」という投稿が。やったぜ!

▼明石市立文化博物館 https://www.akashibunpaku.com/

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