ガンダムはこうして生まれた 回顧展「富野由悠季の世界」神戸で始まる

黒川 裕生 黒川 裕生

「機動戦士ガンダム」など数多くのオリジナルアニメーションで総監督を務め、国内外のアニメシーンに多大な影響を与え続けている富野由悠季さん。日本のアニメを創成期から知る最重要人物の世界初となる回顧展「富野由悠季の世界 ―ガンダム、イデオン、そして今」が12日から、兵庫県立美術館(神戸市)で始まった。

2019年から20年にかけて、全国6会場を巡回。神戸は福岡市美術館に続く2カ所目で、兵庫県立美術館、神戸新聞社、MBSが主催して、12月22日まで開催する。

展示は年代やテーマごとに分けた6部構成になっている。

会場では富野さん直筆のアイデアスケッチや絵コンテ、メカやキャラクターの設定資料、アニメーターによる動画やイラスト原画などの多彩かつ貴重な資料を公開。第1部「宇宙(そら)へあこがれて」では、富野さんの幼少期から大学生までに描いたロケットや戦闘機、宇宙船などの貴重な絵も紹介しており、後の創作へと続く軌跡をそこここに垣間見ることができる。

第2部「人は変わってゆくのか?」では、40年前に誕生した「機動戦士ガンダム」と「伝説巨神イデオン」の世界に迫る。重層的な人間ドラマを盛り込んだ富野さんのロボットアニメは、子供向けとされていたテレビアニメの世界に大きな変革をもたらし、色褪せない世界観で今なお多くのファンを持つ。ガンダムシリーズは富野さんの代名詞的作品となり、最新作「ガンダム Gのレコンギスタ」は現在、劇場版の制作が進んでいる。

55年にわたる富野さんの仕事を通覧する資料は、6部で計3000点に上る。11日に開かれた内覧会で、富野さんは「これまでテレビアニメを作ることができたのは、一緒にやってきた何千人もの人たちの存在があったから」と感謝の言葉を述べ、この展示が「個展」ではないことを強調した。

さらに「我々の仕事はかつて社会の最底辺で、評価されていなかった。こういう機会をいただけたことは本当に幸せ。YouTubeの時代、我々のような作り手が何をしなければならないか。ここにはそのヒントがあると自負している」と力を込めた。

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