日本語話せなかったベトナム人女性が看護師に 支え続けた亡き恩師との絆

広畑 千春 広畑 千春
「困っている人の役に立つ存在になりたい」と話すタオさん=神戸市内
「困っている人の役に立つ存在になりたい」と話すタオさん=神戸市内

 1年目は不合格でしたが2度目の挑戦で合格。その半年後、草さんにがんが見つかりました。既に転移し、手術もできない状態でした。「信じられなかった。でも、何とか先生に看護師になった姿を見せたかった」とタオさん。難しい専門用語を覚え、実習をこなす姿に、最初は半信半疑だった専門学校の教師や学生仲間にも認められるように。草さんは激痛に襲われながらもメールでタオさんを励まし続けました。

 正看護師の国家試験まで2カ月を切った昨年末、タオさんは草教諭の入院する神戸市内のホスピスを訪れました。草さんはいつものように「今日はどうだったの?」と優しい笑顔で様子を尋ね、「タオちゃんならできるから。私も頑張るから、タオちゃんも頑張って」と声をかけてくれました。その3週間後、草さんは帰らぬ人となりました。

 3月。タオさんは国家試験の合格通知を手に、草さんの仏前に報告しました。これから病院での研修を経て、現場での勤務が始まります。「今があるのは、どんなときも見守ってくれた先生のおかげ。これからもっと大変だと思うけれど、日本人も外国人も助けられる看護師になりたい。そして、外国人でも看護師になれると知ってもらえたら」

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