ピロリ菌を除去しても胃がんに絶対ならないとは限らない

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
 若いうちに胃カメラ(上部消化管内視鏡)の検査を受けることが肝要です
 若いうちに胃カメラ(上部消化管内視鏡)の検査を受けることが肝要です

 ピロリ菌に感染している人は、胃カメラを受ける年齢が遅ければ遅いほど、既に悪くなっているリスクは高まります。ですから、若い人ほど胃カメラを受け、感染を認めれば、直ちに除菌をしてほしいのです。それにより、胃癌発症のリスクはかなり軽減します。もちろん、その場合でも胃癌になるリスクが“3分の1”以下になっただけという認識は持つべきです。除菌後でも年に一度は胃カメラを受けて、癌の早期発見を心がけてほしいです。早期胃癌であれば、かなりの確率で内視鏡治療を施すことで完全に治癒することが可能です。今は癌と言っても死刑宣告ではないのですから。

 また、胃癌の中にも、上記とは違った形で出現する怖い癌があります。ピロリ菌の感染などと関係なく、出現してくる癌です。このタイプの癌も早期に見つけることは難しいのですが、胃カメラを受けて早期発見できれば、治癒する確率は高まります。胃癌になる因子としてピロリ菌の感染以外に、塩分の過剰摂取、喫煙なども挙げられています。遺伝的な要因はないとされていますが、親族内で胃癌が多発しているケースも時々みます。これはピロリ菌の感染であったり、生活習慣が引き起こしたのかもしれません。

 癌の予防は難しいのですが、防ぎようがないと諦めるのではなく、積極的な治療でリスクの軽減を図れるということを知っていただきたいのです。多くの患者さんが癌と戦いながら、日常生活を送っています。回復に向かうことを心から祈っております。健診は意味がない、癌と戦うなという医師もいますが、私の経験から納得できる一般的な意見を述べさせてもらいました。

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