節分に無病息災や家内安全を願い、その年の恵方を向いて長い巻きずし「恵方巻」を食べる年中行事がいつのまにやら定着した。今年の節分である2月3日は日曜日。ヤフー検索の調べによると、今の時期に「今年の恵方」の関連ワードを検索するユーザーが増えるという。今年の恵方は「東北東」。以上!だが、それで話が終わるのもつまらないので、今年誕生した特大の恵方巻をどこまで食べられるかに挑戦した。
居酒屋チェーン「甘太郎」が1月21日から2月3日まで、関東と関西の42店舗で期間限定販売している新メニュー「悪魔の恵方巻(税抜3990円)」。長さが計60センチの豚ヒレカツ(3本分)をコッテリとしたガーリックライスと海苔でクルリと巻いた50センチの恵方巻部分の背中にはピザの生地が置かれ、その上に鎮座するソーセージ、牛カルビ焼肉、スクランブルエッグにマヨネーズがタップリとかかっている。重さ約1・5キロ、カロリーは成人男性の平均摂取カロリー約3日分となる6000キロカロリーである。
試食取材ということで、記者は写真撮影後に一切れだけ味見させていただくつもりで、池袋にある同店近くでラーメンを食べてから訪れたのだが、目の前には巨大な恵方巻を乗せた台座が登場。これを1人で食べる状況になっていると聞いて戦りつが走った。スタッフの方に「無理しないでくださいね」と気をつかっていただき、もったいないが、倒れる前に残そうという気持ちでかぶりついた。
直径9センチなので一口では無理。トングで胴体部分を押さえながら、2層ごとハサミで適当な長さに切り、皿に取って口に運んだ。濃厚すぎる味が口中で化学変化を起こして脳髄に響き、もう、どうにも止まらない。スルスルと胃袋に収まっていく。「東北東」がどちらかなんて、もう、どうでもよくなった。
悪魔的なカロリーを摂取している背徳感に酔いながら、半分を食べたところで、次に控えていた仕事を思い出して我に返り、“停戦”とした。それでも約3000キロカロリーを摂取。空腹で、次の予定を気にしなければ完食していたかもしれない。