前代未聞!!1面がヨコになった日 小泉首相の熱が“常識”を壊した

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 2001年7月9日のデイリースポーツ1面
 2001年7月9日のデイリースポーツ1面

 【平成13(2001)年 小泉フィーバー】

 デイリースポーツの整理部(見出しやレイアウトを担当する部署)の1面担当をして10年余りの7月8日。我が愛するタイガースは前日まで31勝44敗の借金13で最下位。「せっかくノムさんを呼んだのに3年目の今季も最下位確定か~」と編集局でも嘆き節が飛んでいた。

 午後1時ごろ出社して広島-阪神戦をテレビで見ていたが、いきなり金本(当時は広島)に先制2ランを打たれて「あ~あ」。勝った阪神で1面を作りたい僕の思いは初回に吹き飛んでいた。

 時は2001年、4月の自民党総裁選で「自民党をぶっ壊す」「私の政策を批判する者はすべて抵抗勢力」と街頭で熱弁をふるう小泉純一郎首相が誕生していた。僕は無党派層だが、整理部で見出しを商売にしている身として、短い言葉で聴衆を引き付ける首相に特に注目していた。その首相が7月の参院選の第一声を大阪と神戸で行ったのだ。

 阪神が淡々と負けていく様子を見ていたら、違うテレビ局に小泉首相を大群衆が取り囲んでいる場面が飛び込んできた。あれはどこや!!神戸元町~?馬券を買いに行くいつもの元町じゃない。1万5千人が地鳴りのような「純ちゃ~ん」。デイリーのカメラマンももみくちゃだ。劇場型政治とか関係なく、閉塞感のある日本を何か変えてくれるのではないかと思う自分がいた。とにかく瞬間的に感じたことは「これはオモロイ」。

 当日、1面を何でいくか決めるのは総合デスクの改発(現社長)だった。とにかく読者が驚く紙面を提供することに命をかけていて、夕方のデスク会でも小泉さんで1面を作ろうと即決した。抵抗勢力もいなかった。改発が「見ろ、この写真。この大群衆をどう生かすかが今日のポイントや」と背後からプレッシャーをかけてくる。もちろん分かっている。スポーツ新聞の整理マンは、ネタや写真を見て、今日は見出しで勝負する日あるいは写真で勝負する日と考える。当然今日は写真で勝負して、見出しは短い言葉で的確に付ける日だ。縦の写真であればあるほど大きく扱えるが、来た写真は横だった。

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