さらに今回、国際ロマンス詐欺が大々的に報道された際には、高齢女性を狙ったものだと伝えられました。
しかし、被害届を出して表沙汰になったケースの被害者がたまたま高齢女性だっただけで、実際には、年齢や男女問わず、泣き寝入りしている方もたくさんいるのではないかと私は考えます。愛している人、結婚したい相手が困って自分を頼ってきたから助けたのに、それが詐欺だったとわかった時、ショックが大きく、事実を受け入れて被害届を出すまでのパワーは、もし私が被害者だったらきっと残っていないでしょう。
事実、私の知人男性は、婚活アプリでアメリカ人女性から猛烈なアプローチを受け、仲良くなってメッセージのやり取りをしていたある日、「事故にあって入院することになったけどお金がないので助けてほしい」と、全身大怪我をした本人の写真が送られてきたそうです。おかしいとすぐに気付いて先方にお断りをして縁を切ったそうですが、この類の詐欺は女性ばかりが狙われているというわけではないということです。それでも「自分には関係ない」と思う方がほとんどだと思います。
私がSNSを初めて利用したのは高校生の時でした。同じ趣味を持つ、会ったことがない“友だち”とのメッセージのやり取りにハマり、中には、恋愛感情に似たようなものも感じたことがあります。一度も会ったことがなくても信頼関係は築けていると思っていましたし、家族や周りの人に言えない悩みを話すことができたり、その世界にのめり込む要素がたくさんあったので、今回の被害者の気持ちが少しわかる分、心苦しいです。
国際ロマンス詐欺は、軍人になりすますパターンが多いようですが、他の職業でもありえるでしょうし、そもそも外国人ではないかもしれない-どこに危険が潜んでいるかはわかりません。これらの詐欺に合わないためには、相手が誰であろうと、理由がどうであれ、実際に会ったことのない人には絶対にお金を渡してはいけないと思います。
SNSで出会って幸せになるカップルもたくさんいるのは事実ですが、液晶画面を通してだけでは相手の本質はわかりません。老若男女問わず、非道な詐欺に騙されて、悔しい思いをする方が1人でも減りますように。