「ドクタードッグ」を知っていますか?元保護犬が広げる笑顔の輪

岡部 充代 岡部 充代

 「ドクタードッグ」という言葉を聞いたことはありますか?トレーニングを受け、認定試験に合格した後に、病院や高齢者施設、学校などを訪問する犬のことです。日本では「セラピー犬」と呼ばれることが多いですが、1991年に香港で設立されたアジア動物基金が運営するプログラムでは「ドクタードッグ」と呼ばれ、国際統一ルールの下、認定を受けた犬たちがアジア各国で活動しています。兵庫・西宮市に暮らすチワワのキキ君(4歳)もドクタードッグの一員として、多くの人に笑顔を届けています。

 キキ君は保護犬でした。多頭飼育崩壊により行政機関に保護され、5年前に動物福祉団体「ペッツ・フォー・ライフ・ジャパン(PFLJ)」に引き取られたのです。里親さんはすぐに見つかりました。先住犬のララちゃん(マルチーズとトイプードルのミックス、8歳)を飼われていたTさんです。

 当初は抱っこしても手のひらの上で立ったまま固まっていたり、散歩にも行きたがらなかったキキ君ですが、お姉さんであるララちゃんがうまくリードしてくれ、徐々に慣れていきました。「私たちよりも、ララが先にキキとの関係を築いてくれました」とTさんは振り返ります。

 ララちゃんはすでに、アジア動物基金のドクタードッグプログラムに参加しているPFLJでトレーニングを受け、資格を持っていました。そこでTさんは一緒に活動できるようにと、キキ君もドクタードッグにすることを決めたのです。

 ドクタードッグはどのような環境でも落ち着いていられなければいけません。そして、ハンドラーである飼い主さんの指示は絶対です。例えば「マテ」は犬の基本的なしつけのひとつですが、ドクタードッグはオスワリでマテ、フセでマテ、食事中にマテ…など、さまざまなパターンが求められます。もちろん、飼い主さんが解除してくれるまで動いてはいけません。

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