多頭飼育崩壊で苦しむ動物たちを救え! 公益社団法人アニマル・ドネーションが緊急基金を再開

岡部 充代 岡部 充代

 クラウドファンディングサイトREADYFORに「アニドネ|1000頭の救出を支えた多頭飼育崩壊の緊急基金 再開へ!」というプロジェクトが展開されています。立ち上げたのは公益社団法人『アニマル・ドネーション』(以下、アニドネ)。動物関連団体に特化したオンライン寄付サイトを運営する公益社団法人です。

「皆様からの寄付を届けているアニドネの認定団体が、10頭以上の多頭飼育崩壊現場にレスキューに入り、5頭以上引き取った場合に1頭あたり1万円の寄付金を届けるための緊急支援基金です」(アニドネスタッフ)

 ここ数年、よく見聞きするようになった「多頭飼育崩壊」という言葉。アニドネはその状況をこう定義しています。

「飼育頭数が増え、犬猫に適正飼育(十分な食事と十分な生活空間が与えられ、糞尿の始末、健康の維持など衛生上安全に生活が送れる環境での飼育)が行われていない状態に陥ること」

 少し前のデータになりますが、環境省の調査によれば、2018年度の多頭飼育に関する苦情件数は全国で2149件。おそらくこれは氷山の一角でしょうし、同調査で「解決済み」とされているのは39.2%に過ぎません。残りは「継続中」で、中には「悪化傾向」(6.0%)に分類されていたものもありますから、再調査すればさらに増えることが予想されます。

「高齢化社会、核家族化が進むに連れ、もっと増えるのではないかと思っています。アニドネの認定団体からの報告によれば、飼い主の入院や死亡により発覚、建物の老朽化により立ち退きの際に発覚、などが多く見受けられます」(アニドネスタッフ)

増え続ける多頭飼育崩壊からのレスキュー

 アニドネでは2020年6月に今回と同様の目的で緊急支援基金を立ち上げました。認定団体の保護経緯に「多頭飼育崩壊からのレスキュー」が増えてきたと感じ、改めてヒアリングしたところ、年間で約500頭を救出していたことが判明。頭数の多さのみならず、現場に入る過酷さ、救出の難易度の高さなどが明らかになり、基金の立ち上げに至ったと言います。

 Yahoo!ネット募金のほか、企業、個人からの寄付で約1100万円を集めましたが、以下のような申請件数があり、資金は早くも底を尽いてしまいました。

2020年 13申請 218万円(7月~12月)

2021年 11申請 139万円

2022年 11申請 317万円

2023年 11申請 259万円(1月~6月)

「今年は7月だけで12申請があり、その後も多頭飼育崩壊によるレスキューは続いているので、一度ストップしていた基金のためのご寄付を募ることにしました。コロナが落ち着いて、一気に増加している印象です。陰に隠れていた案件が表面化してきたのでしょう。ケアマネジャーさんからのアラートなどが増えていますね」(アニドネスタッフ)

 

 前述した環境省の発表では、多頭飼育に関して最初に情報を把握してから解決までに要する期間は平均3年。飼い主に問題意識がない場合、飼育放棄の説得に時間が掛かったり、保護する側のシェルターに空きがあるかなど物理的な問題も大きいでしょう。また、多頭飼育崩壊現場の犬や猫は人馴れしていない場合がほとんどですし、近親交配によって生まれているため病気を持っている子も多く、譲渡が進まないこともレスキューに時間を要する一因と考えられます。

「認定団体からの報告を見ると、最初は愛情を持って適正飼養していたはずが、何かのきっかけで心のバランスを崩し、自分の生活と犬猫の生活が一変、気が付けば多頭飼育崩壊に、というケースが少なくありません。現場に猫ちゃんの骨壺が置いてある写真を見たときは胸が締め付けられました」(アニドネスタッフ)

「多頭飼育崩壊は人間の問題。いつ、誰がその状況に陥ってもおかしくありません。危ないと感じたらすぐに相談できる場所づくりも検討課題ですが、私たちはまず、すでに多頭飼育崩壊を起こしている現場に入り、レスキューしてもらうための資金が必要と考え、今回のプロジェクトを立ち上げました。皆様、どうかご協力をお願いいたします。

 そして保護犬、保護猫を家族に迎える際は、そういった場所からレスキューされた子たちにも目を向けてください。猫ちゃんの場合は、できれば複数で迎えてくださるとうれしいです。たくさんの仲間と一緒に育ってきた子たちですから」(アニドネスタッフ)

◆READYFOR当該プロジェクト
https://readyfor.jp/projects/anidone-emergency-support

◆アニドネ緊急支援基金
https://www.animaldonation.org/emergency_support/

◆アニドネ認定団体一覧
http://www.animaldonation.org/donate/groups/

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