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「車いすでも寝たきりでも着られるスーツ」仕立てる84歳テーラーが後継者探し 「体力限界」培った技を次世代に

京都新聞社 京都新聞社

 障害のある人のスーツを長年仕立ててきた京都市北区の男性(84)が、体力の衰えから後継者を探している。筋萎縮性側索硬化症(ALS)などを患い外出が難しい人のために、出張して採寸し、着脱しやすい工夫を凝らしたスーツを作る。培った経験や技を次世代に引き継ぎたいとの思いを強めている。

 テーラー歴約70年の田中輝彦さん。25年ほど前から、車いすユーザーや寝たきりの人が着やすいスーツを本格的に手がけてきた。

 スーツの後ろ身頃はファスナーで開閉し、左右に大きく開くことで腕を通しやすくする。ズボン脇にも裾近くまでファスナーを付ける。車いすの人にはズボンの後ろ丈を長くし、背中が見えないようにする。一人一人に合う服作りを心がけてきた。

 元々店舗を持たずに各地の顧客を回るスタイル。障害のある人の場合も自宅まで出向く。

 子どもの結婚式に出席する父親のスーツや、特別支援学校の卒業式用のスーツなど、人生の節目を飾る注文が多い。採寸し、京都に帰って仮縫いし、再び顧客の元へ。仮縫いを2~3度することもある。本縫いは別の職人が担う。

 自宅の作業場には丁寧な仕事ぶりに感謝する顧客からの手紙が残る。「一日中、上着まで着て過ごせたことに家族も同席した介護士の方もビックリでした」

 田中さんは「人の身体は左右対称ではない。その差が大きいか小さいかだけ」と話す。障害があってもなくても仕立て代は同じだ。

 ただ、80歳を過ぎ、体力の限界を感じることが増えてきた。大きな荷物を抱えて顧客宅へ向かい、夜に帰宅するころにはしゃべるのもおっくうなほどぐったりしている。

 何とかこうしたテーラーがいることを知ってもらい、興味を持つ人が現れてほしいと願う。交流サイト(SNS)でオーダースーツを手がける人を見つけると、やってみませんかとメッセージを送ることもある。「反応があったことはないですが」と苦笑しつつ、「(採寸で家に行くと)来てくれてありがとうと言われる。いろいろな人と出会えて、この仕事をやってよかった」とかみしめる。

 問い合わせは「お誂(あつら)え洋服たなか」のホームページから。

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