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72歳の父「介護が必要な人が行くところ」と、デイサービスを拒否 要支援1なのに…困惑した娘が取った対策とは?【社会福祉士が解説】

もくもくライターズ もくもくライターズ

会社員の高橋あきこさん(48歳・仮名)は、夫と高校生の娘との3人暮らしです。近くには、数年前に仕事を退職した父(72歳)が母と2人で暮らしています。

父は現役時代、友人と麻雀をしたり、カラオケに出掛けたりしていました。しかし、ひざの痛みなどから歩くことに不安を感じるようになり、買い物などにも負担が生じたため、要介護・要支援認定を申請し、要支援1の認定を受けました。

その後も介護サービスは利用せず、身の回りのことはほとんど自分で行っています。しかし、外出する機会は減り、最近は買い物以外ほとんど家から出ず、テレビを見て過ごす日が増えています。

あきこさんが、少しでも外に出るきっかけになればとデイサービスの利用を勧めても、「デイサービスは介護が必要な人が行くところだろう」と乗り気ではありません。

あきこさん自身も、まだ元気に暮らしている父がデイサービスを利用できるのか分かりませんでした。外出や人との交流が減っている親について、家族はどこに相談し、何を確認すればよいのでしょうか。

「まだ元気」でも通所型サービスを利用できる場合がある

デイサービスというと、食事や入浴などで介助が必要な人が利用する場所をイメージする人もいるかもしれません。介護保険制度上の「通所介護(デイサービス)」は要介護1~5の人が対象ですが、要支援1・2の人や、基本チェックリストにより支援が必要と認められた人も、市町村が実施する「介護予防・日常生活支援総合事業」の通所型サービスを利用できる場合があります。

要支援状態とは、日常生活の基本的な動作はほぼ自分でできるものの、要介護状態になることを防ぐため、生活の一部に支援が必要な状態です。

通所型サービスでは、機能訓練や交流の場など、日常生活を支えるサービスが提供されています。

ただし、具体的なサービスの内容や利用方法、利用料金や自己負担額は、サービスの種類や市町村によって異なります。介護保険の自己負担割合は原則1~3割で、食費や活動費などが別途必要になる場合もあります。「身の回りのことができるから利用できない」と決めつけず、地域でどのようなサービスがあるのか確認する必要があります。

サービスを探す前に確認したい「父が困っていること」

家族から見ると外出が減っていても、本人は特に困っていないと感じている場合があります。家にいる時間が長いというだけで「外に出た方がいい」と決めるのではなく、本人が今の暮らしをどう感じているのかを聞いてみましょう。

例えば、「以前はどんなことを楽しんでいたか」「またやってみたいことはあるか」などを話してみます。外出が減った理由も重要です。出掛ける用事がなくなったのか、体力に不安があるのか、人付き合いがおっくうになったのかによって、本人に合う支援は変わります。

こうした希望や生活の変化を整理しておくことが、本人に合った通所型サービスを考える材料になります。

「利用できる?」は地域包括支援センターで具体的に相談

本人に合う通所型サービスがあるか分からないときは、地域包括支援センターに相談できます。地域包括支援センターは、高齢者の介護や介護予防、暮らしについて総合的な相談を受ける機関です。

相談するときは、「要支援1と認定されている」ということだけでなく、「退職後に外出が減った」「以前は麻雀やカラオケが好きだった」「本人はデイサービスを自分には必要ないと考えている」など、普段の生活や本人の考えも伝えます。

そのうえで、地域で利用できる通所型サービスや本人の希望に合いそうな事業所、利用開始までの流れを確認します。

地域包括支援センターでは、本人の状態や生活上の課題、希望などを踏まえ、介護予防ケアマネジメントを通じて必要な支援を検討します。相談したからといって、必ず通所型サービスを利用することになるわけではありません。

見学して分かった「ここなら行ってみてもいい」

あきこさんは父と話し、地域包括支援センターに相談しました。そこで紹介された通所型サービスの中から、父が興味を持てそうな事業所を一緒に見学することにしました。

見学先では、利用者同士で麻雀をしたり、カラオケを楽しんだりする時間がありました。実際の様子を見た父は「これなら行ってみてもいい」と考えるようになり、利用を始めました。

その後は、決まった日に出掛け、人と話す機会ができました。あきこさんも「家にこもっている父をどうすればよいのか」と心配するだけでなく、父がどんな生活を望んでいるのかを一緒に考えられるようになりました。

要支援認定を受けても、「まだ元気だから自分には関係ない」と感じる人はいます。そんなときは、本人の希望や生活の変化を整理したうえで、地域包括支援センターに相談し、地域にどのような選択肢があるのか確認してみるのも一つの方法です。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

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