パートで働く38歳の木下優子さん(仮名)は、会社員の夫と、小学2年生の息子・亮太くん(仮名)との3人家族です。亮太くんには知的障害を伴う自閉スペクトラム症があり、療育手帳を所持しています。
予定の変更や大きな音がきっかけでパニックを起こすことがあり、以前はその場から離れたり、落ち着くまでそばで見守ったりすることで対応できていました。
しかし成長するにつれ、パニック時に走り出したり、手足を大きく動かしたりすることが増え、周囲の物にぶつからないようにしたり、安全な場所へ誘導したりすることに難しさを感じるようになりました。優子さんは、一人で対応することへの不安や負担が、以前より大きくなっていると感じています。
亮太くんが通っている放課後等デイサービスの職員が、疲れた様子の優子さんを気にかけ、送迎時に声を掛けました。すると、放課後等デイサービスの利用日ではない平日の放課後や、土日は優子さんの負担が大きくなっていることが分かりました。
「これからも、今までと同じように、この子を支えられるだろうか」。子どもの成長に合わせて、今後の生活に不安を抱いた際には、どのように相談を進めるべきでしょうか。
子どもの成長に合わせて支援は見直すことができる
障害のある子どもの支援は、一度決めた内容を続けなければならない、というものではありません。子どもの成長とともに、必要な支援は変化していきます。家族の体調や状況も変化するものであるため、家庭でどこまで対応できるのかも見直す必要が出てきます。
子どもの成長に伴ってパニック時の動きが大きくなり、安全を確保することが難しくなった場合や、保護者の疲れがたまっている場合は、家庭での負担が増えているサインとも考えられます。状況や困りごとが変化した際には、利用している支援の内容や量を見直せないか、早めに相談することが大切です。
誰に相談すればよい?具体的に見直せる支援は
◆相談支援専門員や自治体の障害窓口担当に相談を
支援の内容や量を変更するべきか悩んだとき、まずは担当の相談支援専門員や自治体の障害福祉窓口に相談します。相談支援専門員は、必要なサービスを利用できるよう支援する専門職です。子どもや家族との面談を実施したうえで、障害児支援利用計画を作成します。
障害児支援利用計画には、どのようなサービスをどれくらい利用するのかを記載します。相談支援専門員は、市町村が定める期間ごとにモニタリングを行い、サービスの利用状況や、立てた目標に向けた支援が合っているかを確認します。子どもや家族の状況が変わった場合は、次のモニタリングを待たずに相談することで、支援の見直しにつながりやすくなります。
相談支援専門員を介さず、保護者が計画を作成するセルフプランで利用している場合は、自治体の障害福祉窓口に直接、相談をします。これを機に、相談支援専門員に計画作成を依頼することも検討できます。
◆放課後等デイサービスの利用日数を見直す
放課後等デイサービスは、小学校や中学校、高校、特別支援学校などに通う障害のある子どもが、授業の終了後や学校の休業日に通う施設です。生活能力の向上のために必要な支援や、社会との交流の促進などを目的としています。具体的な支援の内容は、事業所によって異なります。
利用できる日数は、障害児支援利用計画の案などを踏まえて市町村が決定し、通所受給者証に記載されます。本人や家族の状況が変わった場合は、市町村に利用日数の変更を申請することができます。ただし、あくまで市町村が支給決定を行うため、希望どおりの日数が認められるとはかぎりません。また、事業所の空き状況によって、利用できる曜日がかぎられる場合もあります。
◆短期入所も選択肢になる
短期入所は、自宅で介護する人の疾病やその他の理由により、子どもが障害者支援施設や児童福祉施設などに短期間入所し、入浴や排せつ、食事などの支援を受けられるサービスです。ショートステイとも呼ばれ、介護者が心身を休めるために利用することもできます。
利用にあたっては、市町村が障害の程度などを調査し、対象となるかが判断されます。利用できる施設や空き状況は地域によって異なるため、対象となるかと併せて、相談支援専門員や市町村の窓口に確認する必要があります。
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放課後等デイサービスの職員の助言を受け、優子さんは担当の相談支援専門員に連絡しました。パニック時の動きが大きくなり、一人で安全を確保することに不安を感じていることや、利用日以外の平日や土日に負担を感じていることを伝えました。
相談支援専門員と話し合って計画を見直し、市町村に利用日数の変更を申請したところ、放課後等デイサービスの利用日を増やせることになりました。優子さんも休める時間を確保できるようになり、家庭での負担を少し減らせる見通しが立ちました。
亮太くんの成長に伴い、今後も必要な支援は変わっていく可能性があります。優子さんは、困りごとが出てきたときには一人で抱え込まず、その都度相談しようと考えています。
【監修】鍋島 千紘(なべしま・ちひろ)社会福祉士・保育士・Webライター。社会福祉士として12年間、障害・障害児福祉分野を中心に、直接支援や相談業務に従事。現場で培った知識と経験をもとに、専門性と正確性を大切にしながら、読者に寄り添った分かりやすい記事の執筆・監修を行っている。