e-ハイゼットカーゴはガソリン車と同等以上の荷室スペース
e-ハイゼットカーゴは、商用車として荷室の使い勝手を重視して開発されている。BEV化によって荷室が狭くなれば商品力が低下するため、荷室スペースはガソリン車と同等の広さを確保した。
そのため、駆動用バッテリーをできるだけ薄型化し、フロア下へ配置している。バッテリーを厚くすると荷室床面が高くなり、使い勝手に影響することも考慮した設計だ。
一方で、その影響により最低地上高はガソリン車の160mmから130mmへと30mm低くなった。一般的な舗装路であれば十分な最低地上高といえるが、深い雪道や荒れた路面では注意が必要になるだろう。
ガソリン車から違和感なく乗れることが重要?
e-ハイゼットカーゴの運転席に座ると、まず目に入るのがデジタルメーターだ。今では軽自動車でもデジタルメーターは珍しくないが、軽バンに採用されているのは新鮮に感じる。
まずは、ゆっくりとアクセルを踏み込む。e-ハイゼットカーゴはスムーズに走り出した。
モーターの最高出力は64PS、最大トルクは126Nmを発生する。BEV化によってガソリン車より約300kg重くなっているものの、126Nmの最大トルクを瞬時に発生できるモーターの特性もあり、速度を着実に伸ばしていく。
モーターは本来、最大トルクを瞬時に発揮できるため、力強い加速も可能だ。しかし、e-ハイゼットカーゴはあえて穏やかな加速特性としており、唐突さは感じられない。
これは、幅広いユーザーが運転する商用車ならではのセッティングといえるだろう。個人事業主であればBEVらしい力強い加速感を好むユーザーもいるだろうが、企業では必ずしも同じドライバーが運転するとは限らない。BEVに慣れていない人でも、ガソリン車から違和感なく乗り換えられるよう配慮されている。
アクセルを戻すと、エンジンブレーキのような回生ブレーキが作動する。ただし、協調回生ブレーキではなく、通常の油圧ブレーキを採用している。また、回生ブレーキの強さを調整できるパドル操作や、アクセル操作だけで加減速から停止まで行える1ペダルドライブにも対応していない。
これらはコストを抑えるための判断だと思われるが、BEVらしい先進性という点ではやや物足りなさも感じる。
ガソリン車から乗り換えても違和感なく運転できるという狙いは理解できる。一方で、「e-ハイゼットカーゴだからこそ乗りたい」と思わせるような、BEVならではの魅力がもう少しあると良かったと感じた。