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軽バンなのにEV!? ダイハツ「e-ハイゼットカーゴ」に乗って分かった意外な実力 ダイハツ、トヨタ、スズキの3社による共同開発車

村田 創(norico by ガリバー) 村田 創(norico by ガリバー)

e-ハイゼットカーゴは空冷式バッテリーを採用

BEVにおいて、バッテリーの温度管理は重要な課題のひとつである。バッテリーは一般的に20〜30℃程度が最も性能を発揮しやすく、それ以外の温度では効率が低下しやすいとされている。

例えば、2代目日産リーフは空冷式リチウムイオンバッテリーを採用していた。しかし、夏場にはバッテリー温度の上昇により、安全確保のため出力制限がかかるケースがあり、高速道路では速度が制限されることもあった。

さらに、高温状態のバッテリーを保護するため急速充電にも制限がかかり、30分充電しても十分な電力量を確保できない場合があったという。空冷式は外気で冷却するため、真夏はアスファルトの熱や高い外気温の影響を受けやすく、バッテリー温度が下がりにくいことも課題とされた。こうした経験を踏まえ、現在の日産のBEVでは液冷式や冷媒式を採用している。

こうした空冷式の特性を踏まえると、e-ハイゼットカーゴに空冷式リチウムイオンバッテリーが採用された点は気になるところだ。

ただし、軽商用BEVバンは短距離での利用が中心で、高速道路を長時間走行するケースはそれほど多くない。また、急速充電を利用する機会も限られる。さらに、冷却システムを搭載すると荷室スペースへの影響やコスト増につながるため、空冷式を採用したと考えられる。

液冷式冷却システムを採用するN-VAN e:とは、設計思想の違いが表れている部分といえる。BYD製のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用したことも含め、e-ハイゼットカーゴは商用車として価格競争力を重視したパッケージングを目指したといえそうだ。

e-ハイゼットカーゴは航続距離でN-VANe:をリード

バッテリーの冷却コストを抑える設計を採用した一方で、e-ハイゼットカーゴのバッテリー容量は、ライバル車であるN-VAN e:を大きく上回る36.6kWhとした。N-VAN e:の29.6kWhと比べると、約24%大きい容量となる。

一般的に、バッテリー容量が増えればコストも上昇する。それでも容量を拡大したのは、航続距離でN-VAN e:に引けを取りたくなかったためだろう。

その結果、e-ハイゼットカーゴの一充電走行距離(WLTCモード)は257kmとなり、N-VAN e:の245kmをわずかに上回っている。

e-ハイゼットカーゴとN-VAN e:のバッテリー容量や航続距離、電費などを比較した。

【ダイハツ e-ハイゼットカーゴ(4シーター)】
・搭載バッテリー容量:36.6kWh
・一充電走行距離(WLTCモード):257km
・電費(一充電走行距離÷バッテリー容量):約7.0km/kWh
・車両重量:1260kg
・ブレーキ:通常の油圧ブレーキ

【ホンダ N-VAN e: e:L4】
・搭載バッテリー容量:29.6kWh
・一充電走行距離(WLTCモード):245km
・電費(一充電走行距離÷バッテリー容量):約8.3km/kWh
・車両重量:1130kg
・ブレーキ:協調回生ブレーキ

単純な比較はできないものの、電動パワーユニットの効率という点では、液冷式バッテリーを採用するN-VAN e:に分がある。さらに、N-VAN e:は協調回生ブレーキを採用し、エネルギー効率の向上も図っている。

一方のe-ハイゼットカーゴは、バッテリー容量を増やすことで航続距離を確保する考え方を採用している。航続距離という同じ目標に対して、両車は異なるアプローチを採っている点が興味深い。

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