焼き肉やバイキングなどの食べ放題店舗において、注文して残した料理を店に無断でタッパーや袋に入れて持ち帰ろうとしたり、残食に対して店側から追加料金(ペナルティ)を請求されたりするトラブルが発生しています。
「お金を払って注文した料理だから持ち帰っても自由だ」「残すのはもったいない」と主張する客もいますが、食べ放題システムにおける料理の所有権や利用契約はどのように解釈されるのでしょうか。
無断持ち帰りの法的リスクや、店側が持ち帰りを拒否・追加料金を請求する法的効力について、まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。
持ち帰りは契約違反
ー食べ放題で残した料理を許可なく持ち帰ろうとした場合、どんな罪に問われますか?
食べ放題における提供契約は「店内での飲食」を前提としたものであり、料理の所有権は客が持ち帰る時点までは移転していません。店側の許可なく料理を持ち帰る行為は、店側の所有物を不当に持ち去る行為として「窃盗罪」や「詐欺罪」に問われるリスクがあります。
店側が明確に持ち帰りを禁止している以上、「注文したのだから自分だけのものだ」という身勝手な理屈は法的に通用せず、犯罪行為とみなされる可能性があります。
ー食中毒のリスクがあるとして、店側が持ち帰りを拒否する法的根拠は何ですか?
店側には食品衛生法に基づく安全管理義務や、客に対する安全配慮義務が存在します。テイクアウト専用として提供していない料理を持ち帰らせ、万が一食中毒が発生した場合、店側が営業停止処分などの行政処分や損害賠償責任を負う恐れがあります。
そのため、店側は自己の「施設管理権」や「契約締結の自由」に基づき、店内飲食に限定するルールを設定し、食中毒予防の観点から持ち帰りを拒否する法的な権利を持っています。
ー料理を大量に残した客に対し、店が追加料金を請求するのは有効ですか?
店内やメニュー、予約時などに「残食が多い場合は追加料金をいただきます」といったペナルティ規約があらかじめ明確に表示されていれば、客はその利用条件に同意して契約したものとみなされるため法的に有効です。
この追加料金は不履行に対する「損害賠償額の予定」や「違約金」としての性質を持ちます。ただし、残した量に対して不当に高額すぎる金額を設定している場合は、公序良俗違反等で無効となる可能性がある点には留意が必要です。
ー客が許可なく持ち帰ろうとしている際、店側はどのように対処すべきですか?
まずは店内ルールとして持ち帰り禁止である旨を伝え、持ち帰ろうとしている料理の返却を求めます。客が指示に従わず強引に持ち去ろうとしたり、店内でもめ事や騒ぎを起こしたりした場合は、自力救済(力ずくでの奪還)を避け、即座に警察へ通報するのが適切です。
あらかじめ「持ち帰り禁止」や「過度な残食への追加料金」の掲示を分かりやすく出しておくことが未然の防止策となります。
◆北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。