福岡県八女市にある「猫ダイニング A・caT」は、店主の田辺篤史さん、綾さん夫婦が2025年3月に開いた店だ。人気メニューの猫型ご飯のドライキーマカレーや猫ラベルのお酒をはじめ、店内は猫づくし。壁には、お客さんのペット写真が400枚以上飾られている。壁で仕切られた奥の猫部屋では、保護猫の「あめ」(メス、1歳)がお出迎え。田辺さん夫婦にとって「猫を飼うことと、自分たちの店を持つことは長年の夢だった」という。それらの夢を叶え、いきいきと働くご夫婦に、店のことや、あめとの出会いなどについて話を聞いた。
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篤史さん 私はもともとアパレルの仕事をしていて、接客が好きで、いつかお客さんと気軽に話せる店を作りたいと思っていました。15年前に勤めていた会社が倒産してからは、別の仕事をやりながら開店資金を貯め、地元に戻ってきて、長年の夢をようやく実現することができました。
綾さん 夢は、もうひとつありました。それは、猫を飼うことです。25年前に結婚したとき、当時私が飼っていた猫も一緒に嫁ぎました。その子はツンデレで、主人を猫好きにしてしまった子。16歳で亡くなってからは、主人の転勤が続き、猫飼育不可の家ばかり。私も主人も猫好きなのに、ずっと飼えず、寂しい思いをしてきたんです。八女に帰るとき、最初に探したのが猫を飼える物件でした。そしてまず、ブリーダーさんから迎えたのが「あおい」(メス、2歳)です。
篤史さん どんな店にしようかと妻と相談し、「猫に振り切ったお店にしようよ」と。内装はDIYです。営業中、家であおいを留守番させるのはかわいそう。でも飲食店なので、店内に猫は出せません。そこで店の奥に、壁で仕切った小窓付きの猫部屋を作ることにして、そこへ連れてくることにしたんです。
綾さん 開店から1年後、地元の保護猫団体さんの譲渡会に誘われ、店のチラシを配りにいったんです。そこにいたのが、多頭飼育崩壊現場からレスキューされた5匹兄妹のうちの1匹の「あめ」でした。もし2匹目を迎えるなら、私も夫も「この子!」と意見がぴったり一致したんですよね。
篤史さん 一目惚れというやつです。出会ってしまった、という感じでした。
綾さん トライアルをさせてもらうと、あめは先住のあおいと、すぐに打ち解けてくれました。相性がとてもよく、安心して家族に迎えることができました。
篤史さん 当初は2匹を、店の猫部屋に連れてきていたんですよ。でも、あおいは臆病で慣れなかったので、今はあめだけ連れてきています。あめは少しびびりですけど、やんちゃで好奇心旺盛。営業中は、猫部屋の窓ごしに、私たちやお客さんを眺めるのが好きです。猫部屋の中でなら触れ合うこともできます。
篤史さん 開店して1年半。会話を交わしていないお客さんは一人もいないと思います。ペットを飼っている方には、その場で写真をいただいてプリントアウトし、壁に貼らせてもらっています。
綾さん お客さんは自分の愛猫を紹介しあうなどして意気投合し、盛り上がりますね。保護猫団体への募金や支援もしているので、「この人は猫を飼いたそうだな」と感じたら橋渡しもしています。
篤史さん もし、ここが猫と全く関係のない普通の居酒屋だったら、こんなふうにはならなかったでしょう。私がやりたかったのは、まさにお客さん同士、和気藹々と話ができる店だったので、今はとてもやりがいがあります。
綾さん 主人は1日に何度も、2匹に向かって「かわいいね」っていうんですよ。赤ちゃんに話しかけるようなしゃべり方で(笑)。
篤史さん 私たちには子どもがいないので、2匹は娘のような存在です。売上があがらなかったりアルバイトしたりと、大変なこともありますが、くじけそうになっても守るべきものがあるので頑張れます。これからも猫好きさんたちが気軽に集えて、心がほっこりする場にしていきたいです。
【店名】「猫ダイニング A・caT」
【住所】福岡県八女市本町1-433 モリベビル1
【ホームページ】https://dining-acat.com/
【営業日時】火・水・木曜 18:00〜0:00、金・土曜のみ12:00〜16:00、18:00〜0:00、日・月曜は休み